ソフトバンク4番内川に快音が戻った。初回に1死二、三塁で打席が回った。塩見の直球に対し、鋭くバットを振った。打球は前進守備の二塁の脇を抜けていく。中前への2点タイムリー。「内野が前だったので、強い打球を打てば、抜けるかなと思った」。主軸の先制打で一気に試合の主導権を握った。

 4番の働きと打線の好不調は連動する。球宴明けの6試合は22打数3安打と打撃は低迷した。やはり打線も湿りがち。この日放ったタイムリーは10日の楽天戦以来、9試合ぶりだった。それでも内川は言う。「しばらくタイムリーを打ってなかったですね。でも、どうにかしたいという思いは、打っても打たなくても、一緒なので。何かが変わることはない」。打っているから満足-、では4番は務まらない。逆も同じだ。常に重圧と向き合っているからこそ、の言葉だった。

 内川の先制打を起点に、武田の完封で締めた。強い勝ち方はチームに勢いを与える。「(逃げ切りは)投手ががんばってくれている証しだ。だから点を取ることがどれだけ優位になるか理解している。投手がしっかり投げてくれるから、これだけの勝ち星がある」。今季から守る一塁の位置から、投手陣の力投はより伝わる。8回に、内川は右前に流し打ち、後半戦初のマルチ安打を記録。楽天戦が終われば、敵地で2位日本ハムとの3連戦が待っている。大谷、有原ら強力な投手陣と対戦するのは確実。ソフトバンクにとって、4番の復調は勝利の必須条件だ。【田口真一郎】