巨人阿部慎之助捕手(37)が勝負強さを発揮し、4連勝に導いた。4回無死一塁で、天敵の中日若松から左中間を破る先制の適時二塁打。過去先発した6戦で1勝5敗、1度完封負けを喫した苦手右腕から、主砲の17試合連続安打が攻略の呼び水となった。4回に打者9人の猛攻で一挙4得点。難敵を攻略した。

 直球に絞って打席に向かった。カウント2-1からの4球目。狙い球が外角に来る。133キロ直球に対して逆らわずにバットを出した。「チェンジアップをマークしながら(直球を)狙った。うまく打てた」と自画自賛する一打だった。高い戦略性で決勝打は、チームトップ坂本の10本に続く8本。先制、同点、勝ち越し、逆転の肩書がつく殊勲安打は、規定打席に達してなくてもチームトップの17本だ。

 前半戦の悔しさを胸に秘め、戦っている。右肩痛で今季の“開幕戦”は5月31日だった。球宴休みの7月14日。「俺に球宴休みはない。体を整える。後半戦は取り返したい気持ちが強い」。広島遠征から帰京し、インナーマッスルを鍛えるPNFトレーニングと治療をはしごして、後半戦に備えた。

 7月24日のDeNA戦から4番に座る阿部をきっかけに村田、ギャレット、脇谷も続いた。チームとしての若松対策は、決め球チェンジアップを逆方向に打つこと。内田打撃コーチは「阿部がお手本の打撃をしてくれた」。高橋監督は「軸がしっかりすると周りも良い形で打席に入れる」と評価した。首位広島も勝利し、ゲーム差は8のままだが、5月20日以来の貯金5。5日からの直接対決へ、阿部が弾みをつけた。【細江純平】

 ▼阿部が先制タイムリー。7月24日から4番に座っているが、4番の7試合では25打数10安打の打率4割で10打点をマーク。これで阿部の殊勲安打は先制8本、同点4本、勝ち越し4本、逆転1本の合計17本。セ・リーグの殊勲安打5傑を出すと、(1)新井(広)筒香(D)22本(3)山田(ヤ)20本(4)鈴木(広)平田(中)雄平(ヤ)阿部17本。巨人では坂本、村田の15本を抑えトップで、リーグでも4位タイ。他の上位選手は規定打席に到達している中、46試合しか出場していない阿部が5傑入りしている。