ロッテが必死のリレーで勝ちを拾った。先発ジェイソン・スタンリッジ投手(37)が6回途中で降板。その後を4投手でつなぎ、1点リードで逃げ切った。抑えの西野、セットアッパーの内ら、ブルペンの要職が相次いで離脱。苦しい中で新たな救援陣が踏ん張り、2位日本ハムとのゲーム差を6に縮めた。

 最後は新守護神の益田が抑えた。9回2死一塁。リードは最少1点だった。日本ハムの代打矢野を二ゴロ。緊迫した空気が、やっと解けた。伊東監督は「(6回は)鬼門でしたね。(スタンリッジは)行けそうだったけど、代えました。よくブルペン陣が頑張ってくれました」と、大きく息を吐きながら振り返った。

 先発スタンリッジが前回と同じ6回でつかまった。5回まではレアードのソロ1発に抑えていたが、6回1死から西川のセーフティーを一塁へ悪送球。そこから2点目を失い、一、二塁となり、指揮官は交代を決めた。「6回まで行ったら、先頭は最大の集中力で投げるよう」伝えていたが、今回は自らの失策で崩れた。

 先発がイニング途中で降板。以前なら、それでも不安は少なかった。防御率1点台のリリーフ陣は球界屈指。今は事情が異なる。藤岡、松永の両左腕、セットアッパー内に続き、抑えの西野まで離脱。新しい“形”で乗り切るしかない。経験ある益田を抑えに、8回は南。6回、7回は大谷と、昇格したイ・デウンで。左の中継ぎは、いない。

 危機に見える。だが、ブルペン担当の小林投手コーチは、その見方を否定した。「ピンチじゃないです。新しい人、新しいところで投げる人にはチャンス。チームとしても、レベルアップするチャンスです」と強調した。南が好例だ。昨季は1軍登板なし。今季は開幕から1軍も、当初は敗戦処理が持ち場。結果を出し続け、他がいなくなり、この地位に就いた。この日も8回をピシャリ。「やりがいあります。必死ですけどね」と汗をぬぐった。

 「新・勝利の方程式」と呼ぶのは早い。伊東監督は「結果を出す。それしかない。まずは勝つことが大事」。積み重ねの末に、逆転Vにつながる勝ちパターンができる。【古川真弥】