08年・北京五輪監督を務めた楽天の星野仙一副会長(69)が、五輪野球が野球人口の減少に歯止めをかける起爆剤となることを期待した。チーム編成を根本から見直し、トップアマ主体、プロは少人数のオーバーエージ招集にとどめる持論を展開。若き野球人に舞台を用意すべきと提言した。

 尽力したすべての関係者に「ありがとうございます」と感謝したい。東京五輪で復帰という最高のタイミング。20年の先も野球が広く国民に愛され続けるために、球界全体をビルドアップする好機としなくてはいけない。

 私は五輪の野球競技はアマチュアに返すべきと考えている。WBCが定着した今、オールプロの五輪に強い必然性を感じない。アマ選手の夢、目標に位置づける方がいい。チームの大枠はトップアマで構成し、オーバーエージ枠としてプロから3~5選手を選ぶ。ただし、プロの招集は25歳前後までとし、年齢の上限を設ける。若者に挑戦させる形がベストだと思う。

 「子どもたちのあこがれを取り戻す」という大局観が大切だ。少年野球チームの急激な減少率から言って、野球人口の減少は少子化だけが理由ではない。せっかく高校まで打ち込んだのに、上のカテゴリーに進む選手も少なすぎる。子どもたちを引き付けてやまなかったはずの野球の魅力が、薄れてしまっているのではないか。危機感が強く、何とか歯止めをかけたい。

 五輪はあこがれの象徴にふさわしいし、新たな大目標ができれば球界のピラミッドが広がる。日の丸を背負った極限の勝負こそ、かけがえなき財産になると断言できる。北京五輪で結果を出せなかった私も、その後の野球人生において大きな糧となっている。1人でも多くの若き野球人が五輪代表を目指せるよう、環境の整備に期待する。(談)