逆転じゃなきゃ満足できない!? 広島が前日24日にともした優勝へのマジックナンバーを18に減らした。先発九里が3回に4失点も6回以降、小刻みに反撃。そして1点を追う9回、2死三塁で菊池涼介内野手(26)が同点の内野安打。さらに丸佳浩外野手(27)が右翼線に勝ち越し三塁打、新井貴浩内野手(39)が中前適時打とたたみかけた。38度目の逆転勝利で、25年ぶり優勝にまた前進した。

 菊池は同点適時内野安打を「よく覚えていない」と言った。集中力がピークに達し、執念が加わっていた。1点を追う9回2死三塁。2ストライク。巨人沢村の速球に腕を伸ばした。打球は三塁線へ。村田が飛びつき、一塁へ競争となった。大歓声に背中を押されるように、最後はヘッドスライディングでもぎとった。「執念です。それしかない」。4点ビハインドを、ついに追いついた。

 先発九里が3回に4点先取を許した。巨人田口は低めに集め、右打者の懐を攻める快投。だが6回から8回まで1点ずつを奪い、じりじりと巨人を追い詰めていった。「展開、流れがあった」と菊池。9回に追いつくと一気に突き放した。3番丸が「キクが執念で打ってくれた。空振りでもいい。前で打とうと思った」と右越えの適時三塁打。新井も中前適時打で続いた。

 緒方監督の就任と同時に、菊池、丸はリーダーに指名されたが、故障もあって昨季は低迷した。菊池は言う。「去年はキクマルが躍動出来なかった。今年はタナキクマルで最後まで引っ張っていきたい」。タナを担う3安打の1番田中は9回の逆転劇で進塁打。直後にはネクストバッターズサークルにいた丸と会話し、沢村の印象と情報を提供した。アップ中はじゃれ合う3人。「もう出会えないんじゃないかな」と笑う同学年でセンターライン、上位打線を組む仲良しトリオが頼もしい。

 これでマジックを点灯させた前日24日に続く今季38度目の逆転勝利。4点をひっくり返したのも4度目だった。優勝へのマジックナンバーは一気に2個減って「18」。緒方監督は「彼らは最高の殊勲者。ただそれまでも我々の、カープの野球が出来ていたからこそ」と絶賛した。執念の結晶。歓喜の瞬間まで、歩みは止まらない。【池本泰尚】