楽天今江敏晃内野手が、33歳の誕生日に通算1500安打を達成した。6回1死一塁、オリックス金子から右前打を放って決めた。試合も8回に、カルロス・ペゲーロ外野手(29)に勝ち越し弾が飛び出し、接戦をものにした。借金は7月2日以来の1桁となる9に減り、3位ロッテとのゲーム差を7・5とした。

 33歳の誕生日に節目の安打を達成した。6回の第3打席。カウント1ボールから、金子の外角スライダーに迷わずバットを振り抜いた。プロ野球史上122人目の快挙。一塁ベース上で「1500」と刻まれた記念ボードを掲げた今江は、「まさか誕生日に打てるとは。仙台で達成したいと思っていたので、打ててよかった」と充足感をにじませた。

 3打席目までにどうしても打ちたかった。コボスタ宮城に応援に来ていた妻幸子さんと長男陸斗君が、最終の新幹線で東京へ帰らなければならず、「結構なプレッシャーだったが、家族の前で節目の安打を打つことができてよかった」と胸をなで下ろした。

 天国の母にささげた一打でもあった。今江は「母を思って打席に入った」と振り返る。09年2月、がんのため50歳の若さで旅立った最愛の家族に成長した姿を見せた。今江はお立ち台で言葉を詰まらせながら、「自分の誕生日ということもあるけど、母親への感謝の日でもある。1500本も打たせてくれて感謝したい」と、感謝の言葉を最大限に表した。

 節目を迎え、調子も上がってきた。シーズン序盤から「交流戦やオールスターが明けたら見ていて下さいよ」と今江が常々言っていた。後半戦は112打数36安打、打率3割2分1厘と有言実行のパフォーマンスを見せる。開幕から調子が上がらず2軍落ちを経験しても、試合後には体のケアや打ち込みを続けコンディションを整えてきた成果が今、ようやく表れている。2000安打の大記録について今江は、「野球選手になった以上は目指すべき数字。これからの1本、1本が大事になってくる」と気合を入れ直した。

 チームの借金が1桁の9となり、3位ロッテとのゲーム差は7・5に縮まった。節目の記録を達成した今江のバットでチームに勢いを与え、追撃ムードをさらに高めていく。