開幕試合は、東北福祉大が7-1で宮城教育大に先勝し、3季連続68度目の優勝に向けて好発進した。リーグデビューした吉田隼(はやと)左翼手(2年=国士舘)が1回表、初打席初安打になる先制の左翼越え本塁打をマーク。5連続得点の起爆剤になり「新・切り込み隊長」をアピールした。

 プレーボールからの2球目。リーグ初ベンチ入り初打席の東北福祉大・吉田が、初スイングで相手投手の出ばなをくじく「開幕本塁打」を放った。初球ストライクを見送った吉田は「高めに浮いたスライダー。1球目と同じでした。手ごたえはよかった」と記念ボールを笑顔で握りしめた。

 今春は、開幕前の練習試合で右足首の靱帯(じんたい)を痛め、1シーズンを棒に振る悔しさを味わった。リハビリ中は上半身を強化。6月下旬の東北大学選手権からレギュラー入りし、「使い続けるから楽しんでやれ」と言ってくれた大塚光二監督(49)の先発起用に見事に応えた。吉田の本塁打が起爆剤になり、打線はこの回、5連打を含む計7安打で5者連続得点。6回表無死一塁の場面では、今春リーグデビューした8番代打・小原大翔(3年=専大北上)が、デビュー2打席目でこちらもリーグ初安打になる右翼越え2ランを放つなど、相乗効果も生まれた。吉田は2打席目以降、4打席無安打に終わったが、大塚監督は「10打席10安打と同じ価値がある。野球を知っていて楽しそうにやる。順応性もある」と手放しでほめた。

 身長171センチと小柄ながら、50メートル走5秒9の俊足。独特の「四股踏み打法」で活路を開く。右打席に入った後は相撲さながらの股割りで下半身を和らげ、左足を高々と上げてリズムを取る。吉田は「動いていないとダメなのでルーティンのようなものです」と説明する。

 本来はホームランバッターではない。大塚監督からは「塁に出てかき回せ」と指示されている。吉田も「塁に出てチームに勢いをつけるのが自分の役割」と自覚。さらに「盗塁王と新人王を取りたい」と意気込んだ。【佐々木雄高】