阪神のルーキー高山俊外野手(23)が1つのハードルを越える。シーズン規定打席となる443打席まで、あと3と迫っており、今日30日からの中日2連戦(ナゴヤドーム)で到達することが確実だ。

 野手にとっては1年間、フルに仕事をしたという証し。阪神の新人では史上10人目となる栄誉だ。鳴尾浜の選手寮から遠征に向かった高山は「それだけ出させてもらっていることはうれしいし、ありがたい」と、喜びと感謝を口にした。

 夏場に入ってから勢いが急上昇した。24日のDeNA戦では2試合連続の3安打以上を記録。今季の猛打賞は12度目となり、坪井智哉が98年にマークした球団新人記録を更新した。残り21試合で、長嶋茂雄(元巨人)のプロ野球新人最多となる14度も射程内。阪神では07年上園啓史以来となる新人王へも加速中だ。

 ただ、高山に笑顔はない。「その分、しっかり頑張らないといけない。守備も含め、全部です」。27日ヤクルト戦では後逸失策の痛いミスを犯した。プロの世界では一瞬の気の緩みが命取りになる。笑うのはシーズンが終わってから。新人離れした男の言葉が実に頼もしい。【桝井聡】