ソフトバンクが息を吹き返した。今宮健太内野手(25)が7年目で初の2桁となる10号2ランを放つなど4打点。火が付いた打線が10連勝中だった西武菊池をKOし、14安打で8得点した。前日22日までの日本ハムとの直接対決に連敗し、自力優勝が消滅した。だが、この日は首位の日本ハムが敗れたため、1ゲーム差。今日にも逆転の優勝マジックが点灯する位置に再び接近した。

 まだまだ優勝争いは終わらない。3回、今宮が決勝弾となる10号2ランを左翼席へ突き刺した。西武菊池の真ん中に入ってきた失投を逃さず豪快にフルスイングでとらえた。「たまたまです。体がうまく反応しました。気がついたらいいスイングができていた」。続く4回にも左翼線へ2点適時二塁打。この日3安打、4打点をたたき出した。

 21、22日と日本ハムとの首位決戦で2連敗。残り8試合で日本ハムに優勝マジック6が点灯し2ゲーム差をつけられた。今宮は「悔しいが、まだ先がある。僕らは勝ち続けるしかない」。前夜東京へ移動後はいつも通りDVDで映画を見て平常心で敵地西武プリンスドームに乗り込んだ。

 10連勝中の菊池とは今季初対戦。初回は無死一塁から本多が投ゴロ併殺に倒れた。2回は松田が二塁を欲張り憤死するなど、重苦しいムードだったが、今宮の1発で打線が息を吹き返した。今宮を2カ月ぶりに1番で起用した工藤監督も「今宮の1発でみんなの緊張が解けたかな」と喜んだ。14安打8得点と爆発し快勝。今日24日に再び優勝マジックが点灯する可能性が出てきた。

 今宮が本塁打を放った10試合はすべて勝利という不敗神話も継続。8月19日の日本ハム戦以来の1発で目標としてきたシーズン2桁本塁打もプロ7年目でクリアした。菊池とは高校時代に甲子園を沸かせたライバル。その左腕から32打席目で記念の1本を放った。「もう7年ですし、お互い意識はないですけどね」と笑った。今季は打撃スタイルが固まらないままだが、今はシンプルに力強くセンター中心の打撃を心がけ、調子を戻してきた。

 工藤監督はこの日宿舎を出発する前に全員の前で「闘志、執念を持って戦おう」と話した。残り7試合、誰ひとり3連覇をあきらめてはいない。【石橋隆雄】

 ▼日本ハム●、ソフトバンク○の結果、今日は両チームにマジックの可能性が出た。すでに両チームの直接対決が終了しているため、マジックが消えることはなく、今日の試合でソフトバンク○の場合は日本ハム△か●、ソフトバンク△の場合でも日本ハムが●ならばソフトバンクに再びマジックが移る。マジックが2度以上移動すれば86年パ・リーグ(近鉄→西武→近鉄→西武)以来だが、今年のパ・リーグはどうなるか。