新たな勝負手を携え、クライマックスシリーズ(CS)に乗り込む。巨人沢村拓一投手(28)が5日、東京ドームで行われたシート打撃に登板し、村田からスライダーで空振り三振を奪った。カウント1-2から、外角低めに投げ込んだ。「しっかり投げられるようにしたいです」と淡々と話したが、村田を「ああやって、投げられればいいですよね」と感嘆させた。

 スライダーを加えれば、鬼に金棒となる。緩急が必要とされる先発時にはカーブでカウントを整え、スライダーも勝負球に使用。横浜時代に対戦経験のある村田も「先発の時は、いいスライダーを投げていたんです」と回想したが、僅差で登板する守護神転向後は、空振りを取る確率が上がる150キロ超えの速球とフォークに重きを置いた。

 第3のボールは、打者を惑わせる。村田が「追い込まれたので、真っすぐかフォーク」にタイミングを合わせたように、追い込まれれば、2球種に絞るのが普通。予期せぬスライダーは、狙い球に迷いを生じさせる。「いい真っすぐ、フォークがある。緩急を上手に使えば、もっと簡単に抑えられると思います」と打者目線で話した。

 シート打撃での打者5人との対戦では、ストライク先行の投球で1安打に封じた。阿部から助言を受け、レッドソックス上原式のボールを深く握るフォークも駆使。スピードと緩急差をつけ、小林誠からフォークで空振り三振を奪った。見守った高橋監督を「特に何も心配していません」と安心させた。

 守護神の復調は、短期決戦の白星に直結する。37セーブを挙げ、自身初の最多セーブのタイトルを獲得するも、8度のセーブ機会失敗のうち4度が8、9月で心配されたが、調整は順調。「CSに備えるだけ。それ以上も以下もないです」と気合を込め、8日からのDeNAとの決戦の日を見据えた。【久保賢吾】