阪神が20日のドラフト会議で、野手指名の最上位候補に日大・京田陽太内野手(4年=青森山田)を挙げていることが6日、分かった。この日、和田豊SA(54)が3日連続で視察するなど、スカウト3人態勢で京田をチェック。走攻守3拍子そろい「東都の鳥谷」とも呼び声高い大型遊撃手の高評価を再確認した。

 阪神スカウト陣がこの日も神宮のネット裏に陣取っていた。3日連続参戦の和田SAをはじめ、3人が日大-専大戦を視察。熱視線の先は日大の主軸京田だ。2週間後の20日に迫るドラフト会議で、阪神が京田を野手指名の最上位候補に挙げていることが判明した。 阪神は今ドラフトの最大の補強ポイントを即戦力投手とし、1位は創価大の156キロ右腕田中正義投手(4年=創価)が最有力になっている。その投手に続く補強ポイントが遊撃を守れる内野手。筆頭候補が右投げ左打ちのショートで「東都の鳥谷」とも呼び声高い京田だ。

 身長184センチ、体重80キロと大型ながら守備範囲が広く、強肩でスローイングも抜群。50メートル走5秒9で単打も二塁打にする快足の持ち主ながら、リストを利かせた打撃で逆の左中間方向にも強い打球が打てる。大学日本代表も経験した京田を、阪神関係者は「大きくて動ける。今でも3拍子そろっているが、鍛えれば鳥谷以上の可能性がある」と評価している。

 今季、鳥谷の独壇場だった遊撃のポジションに北條が台頭した。その北條への「刺客」としても期待される。北條と京田は同学年で高校時代はともに青森。だが青森山田では、光星学院(現八戸学院光星)の北條に甲子園出場をすべて阻まれた。阪神加入となれば、激しく火花を散らすライバル物語第2章の幕開けとなるはずだ。

 もちろん、これほどの逸材だけに、他球団も上位にリストアップしている。阪神は2位が理想的だが、リーグ4位のウエーバー順では先に指名される可能性がある。今後は他球団の動向もシミュレーションしながら、抽選で田中を逃した場合の外れ1位も含めて検討していくことになりそうだ。

 京田を取られた場合は、侍ジャパン大学日本代表の4番、白鴎大・大山悠輔内野手(4年=つくば秀英)や、早大・石井一成内野手(4年=作新学院)らの即戦力野手にシフトする。トヨタ自動車・源田壮亮内野手(23=愛知学院大)にも注目。あらゆる情報網を駆使し、残り2週間でドラフト戦略を練り上げていく。

 ◆京田陽太(きょうだ・ようた)1994年(平6)4月20日、石川・能美市生まれ。寺井小2年から野球を始め、ポジションは主に遊撃。寺井中では白山能美ボーイズに所属し、3年夏に全国大会8強。青森山田に進み、1年春から遊撃でレギュラー。日大では1年春からベンチ入り。1部昇格した3年秋に遊撃手でベストナイン。遠投100メートル。右投げ左打ち。184センチ、80キロ。家族は両親と妹。

 ◆阪神の今ドラフト事情 藤浪らの不振で4年ぶりのBクラスに終わった阪神は、今オフのドラフトで先発即戦力投手の指名を最優先する方針を固めている。1位の最有力は創価大の田中で、交渉権を獲得できれば2位で遊撃を守れる野手を指名したい考え。投手は大学・社会人の即戦力にターゲットを定めて複数指名を目指し、将来性重視の高校生は下位で狙っていく。