これが広島スタイルだ。32年ぶり日本一を目指すセ・リーグ優勝の広島が今日12日、DeNAとのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージに臨む。緒方孝市監督(47)は普段着野球を掲げ、前日の全体練習後にも鈴木誠也外野手(22)らが特打を行うなど、広島カラー全開だ。ペナントレースを独走した強さを発揮し、勢いづくDeNAを返り討ちにする。

 広島は全体練習が終わっても、主力の鈴木や松山らがバットを持って打撃ケージへ向かった。乾いたバット音はしばらく続いた。初めて本拠地マツダスタジアムで迎えるCS、しかも25年ぶりの日本シリーズ進出がかかるファイナルステージを前日に控えても、広島は広島のやり方でそのときを待った。DeNAとは今季13勝12敗。緒方監督は「戦いやすいとは思わないが、相手を見て戦うのではなく、自分たちの野球をいかにやるか」と話した。

 優勝決定から1カ月以上がたった。だが、レギュラーシーズン終了後から休養はわずか1日で、5日から実戦形式の練習を増やし準備を進めてきた。5番として攻撃の鍵を握る鈴木はこの日も特打を志願した。「ファーストステージを見ていたら楽しそうだった。早く試合に入りたい」と待ち切れない様子。いつも通り入念にフォームを確かめ「やってきたことを信じて思い切り勝負したい」と、神ってる若コイの鼻息は荒かった。

 調整法と同様に、CSの舞台でも緒方監督は広島野球を貫く覚悟を示す。「気持ちの中では迎え撃つというものではなく、日本シリーズに進みたいという挑戦者の気持ちです。短期決戦はミスが命取りになる。だけど思い切って攻める気持ちを持ったミスならOK。チーム全員で戦っていく」。朝から河田外野守備走塁コーチがDeNA投手の映像を、畝投手コーチは攻撃陣の映像をチェック。石井打撃コーチは打線の組み合わせを熟考した。指揮官の思いは選手、コーチを含めチームで共有している。

 ペナントレースを独走で制した自信を胸に、構えず、自然体で戦いの舞台に臨む。緒方監督は「1勝のアドバンテージがあるが、マツダでできるのはそれ以上のアドバンテージになる」と力を込めた。【前原淳】