主将返上、覚悟! 阪神鳥谷敬内野手(35)が野手キャプテンという肩書を返上する考えを持っていることが17日、分かった。チームの超変革、そして来季12年ぶりのV奪回を成し遂げられるのならば、12年から5年間付けてきた「C」マークを外すこともいとわない。再起を期す背番号1の覚悟は、想像以上に重い。

 ここ1、2年の話ではない。鳥谷にはずっと葛藤があったのだろう。猛虎は05年以来、もう11年間もリーグ制覇から遠ざかる。超変革を進めるチーム状況の中、自分はどうあるべきなのか…。悩み抜いた末、現在、野手キャプテンが「C」マークを返上する覚悟を胸に秘めていることが関係者の話から判明した。

 10年から球団選手会長を2年間務め、12年からの5年間はキャプテンの肩書を背負ってきた。今季終盤、鳥谷が人知れず胸中を明かしたことがある。「自分がキャプテンになってから1回も優勝できていないのは紛れもない事実。自分はキャプテンとして、ふさわしくないんだと思う」。V逸の責任を痛感して、表情を曇らせていた。

 以前から、主将という立場については譲れない持論を持っていた。「キャプテンはレギュラーで毎日フィールドに立ち続ける人が務めるべき役割だと思う」。

 今季は連続フルイニング出場が止まり、聖域といえた遊撃レギュラーの座を北條に明け渡した。シーズン終了後には「もう自分はレギュラーじゃない」と言い切った。来季は遊撃はもちろん、三塁、二塁も含めて再び主戦場を奪い取らなければならない立場。そんな状況でCマークを付けてはいけないと鳥谷が考えるのは、ごくごく自然な流れなのかもしれない。

 もちろん、最終的な判断は金本監督が下すことになる。指揮官は5日、坂井オーナーにシーズン終了報告を行った直後、鳥谷の野手キャプテン継続について「まだ決めていない」と明言を避けた。前日16日の秋季練習後も「(決めるのは)今からです」と話すにとどめている。今後、指揮官と鳥谷が直接話をして方向性を定めていくとみられる。

 14年目となる来季は泥臭く、どん底からはい上がる決意だ。シーズン終了後は兵庫県内でトレーニング施設がある自宅を中心に、黙々と17年に向けた準備を進めているもよう。背番号1の逆襲に注目したくなる。

<阪神鳥谷の16年>

 ◆3月25日 開幕戦中日戦に「6番・遊撃」で出場も4打数無安打。

 ◆4月2日 開幕から不振が続く。DeNA戦で26打席ぶり安打の先制2点打。

 ◆4月10日 広島戦で9年ぶり2番でマルチ安打。

 ◆4月19日 ヤクルト戦で8年ぶり5番。8回に決勝適時打。

 ◆4月22日 広島戦で今季1号。1試合6打点。

 ◆5月15日 田淵を超える阪神歴代7位の736打点。

 ◆5月17日 中日戦の同点9回に落球。金本監督「あり得ない」。

 ◆5月21日 広島戦で7年ぶりに8番。二塁打と犠飛。

 ◆6月24日 自己ワーストの28打席連続無安打だったが、広島戦で安打。

 ◆7月8日 吉田義男に並ぶ球団最多900得点。

 ◆7月13日 ヤクルト戦で今季初のバントのサインに成功させる。

 ◆7月24日 スタメンから外れ連続フルイニング出場は667試合でストップ。

 ◆8月3日 DeNA戦で9試合ぶりスタメン復帰し猛打賞。

 ◆8月7日 今季初の三塁打。球団単独5位となる45本目。

 ◆8月17日 広島戦で右腕、福井が先発もスタメン落ち。

 ◆9月3日 DeNA戦で12年ぶり三塁守備。「6番・三塁」で先発。

 ◆9月8日 巨人戦で球団2位タイの通算1864安打。

 ◆9月11日 12年連続100安打をマーク。藤田平、和田豊に並ぶ球団最長。

 ◆9月18日 金本監督が来季の起用法について「一からじゃない? やっぱり」。

 ◆10月1日 チームの全日程終了。連続試合出場は継続し、1752試合まで伸ばす。今季はプロ入り後最低打率の2割3分6厘、7本塁打、36打点にとどまった。