日本ハム大谷翔平投手(22)が、現役引退を表明した広島黒田との最初で最後の対戦に思いをはせた。日本シリーズという最高の舞台で、念願の対戦が実現することが濃厚。18日、札幌ドームでの練習後に引退を知った大谷は「最後まで対戦できるチームにいることは幸せなこと。勉強になることは多いと思う。対戦となれば、勝つために必死に食らいついていきたい。あとになって(貴重な対戦経験を)感じることになると思う」と話し、運命を感じずにはいられなかった。

 野球少年のころから、メジャーで活躍する黒田はあこがれだった。「僕は広島のイメージよりも、ドジャースやヤンキース。黒田さんが投げていると聞けば、チャンネルをまわしたくなった」。黒田が書いた「クオリティピッチング」も愛読書のひとつ。日本球界に復帰した昨年から対戦を熱望してきた。「生で見ることがなかった。最後の最後に見られるというのは、ありがたいというか勉強になる」と、胸を高ぶらせた。

 22日の初戦(マツダスタジアム)の先発が濃厚。スタンドが真っ赤に染まる敵地は、黒田の引退発表でさらに熱を帯びる。「ファイターズが悪者になると思う。でもその中で自分たちのプレーをすることが勝つためには必要」と見据えた。

 22歳、4年目の大谷の野球人生が、41歳黒田の歩んだ道と、最後の最後に交錯する。「黒田さんみたいにすごいパフォーマンスを長年にわたって出せるように、そういう投手になりたい」。自身にとって初めての日本シリーズは、将来へ向けての、かけがえのない時間になりそうだ。【本間翼】