超速クイックで2桁勝利や! クオータースローの阪神青柳晃洋投手(22)が3日、秋季キャンプのスチール防止練習に参加。27人中わずか2人にしか盗塁成功を許さない「スーパークイック」を披露した。これには金本知憲監督(48)も「コントロールがつけば、勝負できる。(勝ち星も)絶対増えると思うよ」と絶賛。新たな武器を身につけ、来季先発ローテ定着を狙う。

 青柳はマウンドで不敵に笑っていた。俊足自慢の荒木や江越、横田が二塁で盗塁死を繰り返す。明らかに異様な光景だった。

 青柳 試合でどうなのかなというのはありますけど。すごく速くはなってますし、このタイムだったら走ってこないとコーチからも言われました。走ったアウトより、走られないというのが一番理想。そこを目指していきたいですね。

 異例シーンの正体は…。青柳の「スーパークイック」だ。香田投手コーチのストップウオッチに記された数字はなんと0・93秒。これは同じくスーパークイックを得意とするDeNA久保康や西武牧田を上回る驚異の数字。これには香田投手コーチも「抑止力になる。スライダーにしてもいけていたからね」と、思わず笑顔だ。

 セットポジションでの投球は青柳の大きな課題だった。今季は13試合に登板し、4勝5敗の防御率3・29。新人としては及第点とも言えるが、デビュー戦に5イニングで4盗塁されるなど、計13盗塁を許した。課題克服のため今キャンプからスーパークイックを練習。ブルペンでも前屈姿勢になり、わずかに左足を上げて捕手に投げ込んできた。この日、ついにお披露目。変則右腕の変貌ぶりに指揮官の期待も膨らんだ。

 金本監督 1秒切っていたしね。球威も落ちないし、あとはクイックの時にコントロールがつけば、勝負できる。ランナーがいない時も、使ったらいい。(プロに)入った時は、投内連係もできなかったから。(勝ち星も)絶対増える。

 安芸で見せた大きな進化。だが、精度を含めてまだまだ修業中だ。「常時、あのクイックで投げられるようにと思っている。足を上げたときと同じボールを投げられるようにしていきたい」。完璧にものにして、来季に臨む。【梶本長之】

 ◆球界のスーパークイック 投球動作始動から捕手が捕球するまでを計測。通常は1・20秒前後とされているが、スーパークイックの第一人者のDeNA久保康は最速0・97秒を記録。同じく使い手の西武牧田は最速1・01秒といわれている。