40発より40盗塁を頼む! 阪神金本知憲監督(48)が24日、兵庫・加東市内で「オーナー杯ゴルフ」に参加し、FA加入する糸井嘉男外野手(35)に40盗塁指令を出した。糸井は前日23日、かつて40発を記録した指揮官に「本塁打増量打法」を学ぶ考えを明かしていた。金本監督は「40(発)は求めない」とした上で、40盗塁からの走塁革命に期待をかけた。糸井は今日25日、大阪市内のホテルで入団会見に臨む。

 目の前のテーブルに、「糸井」の大見出しがついたスポーツ新聞がズラリ並べられていた。金本監督はソファに腰かけると、どんどん期待値を高めていく周囲にクギを刺すように、笑顔で本音を語り始めた。

 金本監督 まあ、そこまで40(本塁打)は求めないし。3割打って走ってくれたら、いいところで打ってくれたらそれで十分です。

 前日23日、糸井はオリックスのファンフェスタに参加した後、「40発を打った人に教えてもらいたい」と指揮官への弟子入りを希望していた。本塁打増量を狙う意気込みは純粋にうれしい。ただ、それ以上に求めたい数字がある。もっとも期待する部分を問われると「全部。足も」とニッコリ。スタートを切る糸井の姿について、具体的なイメージを膨らませた。

 金本監督 今年ぐらいは(盗塁)してほしい。50は出来すぎか。キャリアハイかな。30、40ぐらいは走ってほしい。40ぐらいかな。

 糸井の過去最高成績は14年の19本塁打と今季の53盗塁。指揮官は以前からトリプルスリーの可能性について「十二分に持っている」と話している。この日も40本塁打を打つ能力は「あると思う」ときっぱり言い切った上で「ただ、それを目指すことで打率が下がったりということは避けたい」と冷静に分析する。

 主戦場は人工芝の京セラドーム大阪から、内野が黒土の甲子園に変わる。走路が軟らかくなるとスピードダウンが懸念されるが、金本監督は「甲子園はそこまで軟らかいわけではない」と意に介さず。今季のチーム59盗塁はリーグ最少。まずは足で虎に変革をもたらしてほしいという考えだ。

 今日25日、糸井は大阪市内のホテルで入団会見に臨む。同席する金本監督に見守られながら、晴れて背番号7の縦じまに袖を通す。指揮官はすでに打って走れる「糸井2番構想」を明言している。糸井の走塁革命なくして虎のV奪回は成り立たない、ということだ。【佐井陽介】

 ◆阪神選手の年間40盗塁以上 これまでに3選手が計7度達成している。47年の呉昌征40盗塁は、1リーグ時代の球団最多。吉田義男は2度到達しており、54年の51盗塁は2リーグ分立後の阪神初の盗塁王(56年にも50盗塁で2度目のタイトル)。赤星憲広は4度で、04年の64盗塁はシーズン球団最多。ほかに40盗塁以上は03年61盗塁、05年60盗塁、08年41盗塁があり、積み重ねた通算381盗塁は阪神最多だ。なお、国内FA移籍選手の移籍1年目最多盗塁は、近鉄からソフトバンクに移った05年大村の31盗塁。