日本ハム栗山英樹監督(55)が12日、ドタバタの中、優勝旅行先のハワイに出発した。前日11日に東京入りする予定が、大雪で搭乗便が欠航。あらためてこの日に北海道をたち、国際線搭乗1時間50分前に成田空港へたどり着いた。「大変だった。(この日も)飛ばなかったら見送りだなと思った」。困難の先に栄光があるのは、今季を象徴しているようでもあった。

 21日に、栗山監督は自著「『最高のチーム』の作り方」(KKベストセラーズ、税抜き1350円)を発売する。表紙に記された一文が、すべてを物語っている。「苦しむことには意味がある」。降りかかる困難を大胆な決断で乗り越え、日本一まで駆け上がった。同書では、DH解除や1番投手での起用などを含めた大谷の二刀流、中田に代打を送った本当の理由、増井の先発転向、吉井投手コーチとの“ケンカ”など、裏話を交えて回顧している。

 アマ時代を含めたこれまで、ここ一番の試合で力を発揮することができなかった大谷が、1安打完封勝利で胴上げ投手となり、日本シリーズでもサヨナラ打を放った。同監督は「野球選手・大谷翔平はひとつ階段を上がった」と記した。その日本シリーズも敵地で2連敗からの逆転勝利。同書では「勉強ってこういうことなんだろうなって、つくづく思った。(中略)やっぱり苦しむことには意味があったということだ」と締めている。知恵を振り絞り、困難を打破する。駆け込みで搭乗便に乗り込んだ指揮官は、「オレはホスト側、選手やその家族のみなさんに喜んでもらうために行く」。“最高のチームメート”たちと、つかの間の休息をとる。【本間翼】