巨人が、前ロッテ2軍投手コーチの小谷正勝氏(71)と前日本ハム2軍内野守備走塁コーチの小坂誠氏(43)の来季入閣を決めたことが13日、分かった。小谷氏は1~3軍まで投手全体を指導する巡回コーチ、小坂氏は2軍内野守備走塁コーチを担当する。今オフは球団史に残る大補強を敢行しているが、投手指導の名伯楽と屈指の守備技術を誇った職人が加入。近未来の常勝巨人ナインを育成する。

 卓越した指導者の力は選手の成長を大きく促進させる。巨人は来季の組閣に2人の指導者の名前を加えることを決めた。小谷氏を巡回コーチとして、小坂氏を2軍内野守備走塁コーチとして迎え入れる。

 小谷氏は指導歴37年を誇る名伯楽。ロッテでは、昨年は大嶺祐の能力を引き出し、今季は唐川の復調に尽力。さらに高卒3年目の二木を手塩にかけて、ローテ投手に食い込ませた。巨人でも若き日の内海、山口鉄に助言を授け、宮国の才能を見いだした。球界のOB、現役投手を通しても、今も同氏を慕う教え子たちは数知れない。

 6年ぶりに復帰する巨人では、1~3軍の枠を限定せずに全般を指導する巡回コーチになる。主力投手陣のチェックも含め、桜井、平良ら次世代として期待される若手の底上げも務める。

 小坂氏は現役時は球界でも屈指の守備技術を誇った遊撃手の職人。日本ハムでは指導を実践すると、若手もうなるほどの高い技術を見せているという。熱心な指導に人望も厚い。28歳の坂本も正遊撃手の座を長らく張っているが、球団としても将来を見据えてポスト坂本を育てる必要がある。同氏がその役割の一端を担うことになる。

 チームは2年連続でリーグ優勝を逃し、今オフは大補強を敢行。吉川光らのトレード移籍に始まり、陽岱鋼のFA移籍も決定的で山口俊、森福も含めて史上初のFA3選手獲得となる。元楽天のマギーを獲得、164キロ右腕のカミネロも合意間近。球団史に残る大補強は完成秒読みだ。

 来季の3年ぶりのリーグ優勝、5年ぶりの日本一へ、あくなき姿勢を示している。同時に将来の枢軸を育てるべく、指導者も“補強”した。強化と育成の両輪で堂々と覇道を歩む。

 ◆小谷正勝(こたに・ただかつ)1945年(昭20)4月8日生まれ。兵庫県出身。国学院大から67年ドラフト1位で大洋(現DeNA)入団。通算10年で285試合に登板し24勝27敗6セーブ、防御率3・07。79年からコーチ業に専念。在京セ3球団で投手コーチを務め、亡くなった盛田幸妃さんや、佐々木主浩、三浦大輔、石井弘寿、石川雅規、五十嵐亮太らを育てた。13年からロッテ2軍投手コーチを4年間、務めた。

 ◆小坂誠(こさか・まこと)1973年(昭48)7月2日生まれ。宮城県出身。柴田-JR東日本東北から96年ドラフト5位でロッテ入団。新人王、盗塁王2度、ゴールデングラブ賞を4度受賞。05年に巨人へ、08年に楽天へ、トレードで移籍し、10年に引退。現役時は通算1371試合、1069安打、打率2割5分1厘、19本塁打、303打点、279盗塁。11年から楽天、14年から日本ハムでともに2軍内野守備走塁コーチを務める。