力を合わせて世界一へ。侍ジャパンでも中核を担う、2年連続トリプルスリーのヤクルト山田哲人内野手(24)と、二刀流の日本ハム大谷翔平投手(22)の「新春侍対談」が実現した。後輩を“持ち上げる”山田と、先輩をちゃかす大谷。話題は3月に行われる第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のほか、メジャーリーグ、さらには恋にまで発展した。【取材・構成=本間翼、栗田尚樹】

 今年のWBCで主役となる、侍ジャパンの2人の若きスターが顔をそろえた。公式戦の対戦は1度きり。山田が4打数3安打と固め打ちしている。

 山田 対戦したのは覚えてるけど…。3本も打ったっけ?

 大谷 カモられてますね。球界NO・1の打者ですから。2年連続トリプルスリーですよ。そりゃ、すごいっすよ(笑い)。

 山田 そういう言い方ダメだよね。そんなこと言ったら、大谷くんは誰もが認める、日本の宝だから。

 大谷 持ち上げ合戦じゃないですか!?

 山田 二刀流、どっちもトップクラス。すごいなと思うよ。打撃では、飛ばす能力がすごい。逆方向にも引っ張ったかのような打球を打つ。広角に打てるのは魅力だよ。あと大谷くんの肩が欲しい。そしたら165キロ投げられるし、投手になれる。

 大谷 え? なりたいんですか?

 山田 なりたいよ。投手の方がいい。143試合全部出るわけじゃないから、気持ち的に…。オレから欲しい部分なんてないだろ?(笑い)

 大谷 たくさんありますよ! 一番は打球の角度ですね。引っ張っても、流したときにも上げられる。僕は引っ張るとドライブ打球が多いので、それはすごいなと思います。あと変化球、真っすぐ問わず、自分のポイントで打ってるのもすごい。

 山田は所属するヤクルトでは年少者。弟のような大谷との距離感を、最初はつかめずにいたという。

 山田 テレビで見て好青年だなぁと思ってたけど、そのまんまだったね。優しい純粋な子ども…。

 大谷 子ども!?

 山田 あ、子だなと(笑い)。チーム(ヤクルト)でも後輩は2軍が多くて、立ち位置難しい。2人でご飯行ったこともないよね? これからも、ないかな。

 大谷 え~!?

 山田 だって、気を使うもん。

 大谷 立ち食いそばでもいいっすよ(笑い)。

 山田 じゃあ立ち食いそば行く? 神宮前の(笑い)。

 本大会での2人の出来が、侍ジャパンの浮沈のカギを握っていると言っても過言ではない。

 山田 大谷くんは投手で頑張ってほしいね。周りが注目する大会で165キロを出すと、日本ってすごいなってみんなに伝わる。やっぱり日本の顔だから。

 大谷 山田さんはホームランも打ってほしいけど、盗塁も見たい。外国ではホームランも打って走れる選手ってけっこういるけど、アジアの中ではいない。ホームラン打った次の打席で、二盗、三盗とかしてほしいです。

 山田 WBCで印象に残っているのは、(09年)イチローさんの中前打とか、(06年)福留さんの代打ホームラン。あとはやっぱり前回大会の、9回の鳥谷さんの盗塁からの、井端さんの安打かな。前回大会は2軍にいたので、寮でテレビを見ていた。ちょうど壁にぶち当たって悩んでる時期でもあったし、自分が日の丸を背負うなんて思ってもみなかった。

 大谷 僕は入団1年目でした。まずは1軍で成績を残して、次の大会で候補として名前が挙がるくらいになればいいなと思っていました。

 山田 日の丸を背負うということは重圧も感じる。周りを見る余裕もなくなって、きっと自分のことで必死になると思う。とにかく結果にこだわって、一生懸命にやるしかない。内容よりも結果。目指すのは世界一。

 大谷 メジャーリーガーもたくさん出ると聞いてる。そんな強敵の中で世界一になれば、日本の国内リーグの評価がもっと高くなるかなと思う。日本のレベルは高いなと知ってもらえるチャンス。真剣勝負の中で、そう思わせられるかは大事だと思います。

 ◆山田対大谷 公式戦の対戦は1試合のみ。14年5月28日の交流戦(神宮)で先発した大谷から山田が三振、左安、左安、中安の4打数3安打。球宴では過去2度対戦し、14年の第2戦(甲子園)では最速161キロを投じた大谷が空振り三振に仕留めた。15年の第1戦(東京ドーム)では、大谷が89キロの超スローカーブの後、153キロ直球で遊ゴロに打ち取った。16年の球宴ではホームランダービーで2試合続けて対戦し、ともに大谷が勝利している。