「打撃の神様」の赤を思わせる赤褐色バットで、初の3割に挑む。日本ハムから国内FA(フリーエージェント)権で巨人に移籍した陽岱鋼外野手(29)が12日、川崎市のジャイアンツ球場を初訪問。約4時間の初練習後に、リーグ優勝に初の打率3割超えという2つの目標を掲げた。「バッターとして、3割をクリアできたら見えるものがあると思う。打ってみないと分からない。打ってみたい」と大台を意識した。

 幸運の配色が後押しする。日本ハム時代に使用していた、赤みの強い赤褐色バットを今季も使う予定と明かした。赤バットといえば、「打撃の神様」と呼ばれた川上哲治氏の代名詞だった。陽は「それは知りませんでしたが、同じような色というのは光栄です。勉強不足だったので、巨人の歴史をこれから勉強します」と先人の軌跡をたどる考え。過去最高打率は14、16年の2割9分3厘。残り7厘を埋めるために、あらゆる策を講じる。

 一方で、優勝のためには何色にも染まる覚悟がある。マシン打撃では最初の約40球を全てバントに費やし、直後も約30球のバスターを続けた。「野球はバントが大事なので。しっかりボールを見て、バントからバスター。1年目から、シーズン中もずっとこの練習をしてきました」。犠打も進塁打もいとわない。高橋監督の期待する、1、3、5番を全うする準備がある。

 力強いスイングで、昨年8月中旬に負傷した右肋骨(ろっこつ)亀裂骨折の不安も一掃した。「12月から台湾で打撃はやってきた。早くチームの力になりたいです」。移籍初年度を最高の年にする。【松本岳志】