初の開幕投手に内定しているDeNA石田健大投手(23)が、番長から金言を授かった。13日、神奈川・厚木市内で自主トレを公開。昨季限りで現役引退した元DeNA三浦大輔氏(43)が練習パートナーとして参加し、山登りなどで下半身を鍛えた。過去7度開幕投手を務め、未勝利に終わった三浦氏からは「俺みたいになるな」とハッパを掛けられ、開幕白星を含む今季15勝を目標に掲げた。

 軽いノリでも、重みがずっしりと詰まっていた。隣に立った三浦氏から、チームの行方を占う左肩に手を添えられた。「俺からアドバイスをもらってどうするんだよ。んー、俺みたいになるなよ。結果を残してほしい。俺は結果を残せなかったから」。開幕投手を7度務め、すべて黒星だった番長は笑っていたが、言葉は本音。失敗した分だけ、託された思いも大きかった。

 プロ3年目の今年、ラミレス監督から開幕投手に指名された。石田は「すごくうれしかった。自分も投げたいと思っていたし。エースらしい投球ができればいい。10勝では少ない。15は勝ちたい」。そう言い切ると、今年の漢字として「勝」と色紙に書き込んだ。開幕戦に先発できるのは日本で12人だけ。その1人に選ばれ、勝ちを意識しないわけがない。

 この日は午前8時から厚木市内にある標高284メートルの白山頂上まで登った。三浦氏の現役時代からの恒例行事で、昨季初めて参加し9勝を収めた。大役を任された今季、さらなる飛躍を目指して再び参加した。

 11日からは山崎康、三嶋、熊原らと合同自主トレを行っている。約1週間寝食をともにする中で、たわいもない世間話から真剣な野球の話までできる。14年に開幕投手を務めて黒星だった三嶋からも言われた。「俺みたいになるなよ」。番長と同じ言葉だった。

 受け止めた上で前向きにとらえるのが石田流だ。「そう言われて気持ちが楽になりますね。結果を残してきた人でもあの舞台に立つと違う。投げない投手でも鳥肌が立つ。去年はその中で井納さんが投げて、勝って緊張がほぐれた。僕も先発陣にいい流れを持っていけるようにしたい」と力強く言った。照準は3月31日のヤクルト戦。番長と三嶋の8試合分の悔しさを晴らす最高の白星スタートにする。【栗田成芳】