中日ドラフト1位の柳裕也投手(22)が明大の先輩、楽天星野仙一副会長(69)からプロで成功するための3つの金言を授かった。14日、都内の母校で昨秋の東京6大学リーグ春秋連覇と明治神宮大会優勝を祝う会に出席。同じく明大からドラフト1位で中日に入団した146勝右腕からの熱いエールに決意は新た。1年目からの大活躍を目指す。

 壇上の柳は直立不動で、大先輩からの直球を受け止めた。明大からプロ入りする4人に向けたエール。だが星野氏にとって柳は、明大の主将からドラフト1位で中日入団と共通項が多い。司会に水を向けられると、そのほとんどが柳に向けたメッセージになった。

 (1)テキトーのすすめ

 星野氏 1年でも長くプレーしてほしい。ケガにだけは気をつけろ。そのためには頑張りすぎたらダメ。高田さんは真面目過ぎたから、もたなかった(笑い)。俺みたいに適当にやればいい。自分のペースをきちっとつかみなさい。

 巨人のV9に貢献した高田繁氏は35歳で引退したが、星野氏は37歳までプレー。ジョークを交え、オンとオフの切り替えが大事と説いた。

 (2)名古屋を愛せ

 星野氏 いかに溶け込むか。今、名古屋(中日)は低迷している。ファンと現場があまりに距離がある。ファンを大事にすること。そうすれば愛される。

 みそ煮込み手羽先も未体験と明かした柳に、星野氏は名古屋メシにも積極的に挑戦することも勧めた。

 (3)カーブを過信するな

 星野氏 あのカーブはカウントを取るだけにしなさい。あれで勝負にいったらポコンといかれるよ。

 柳の武器は縦に大きく割れるカーブ。リーグ通算338奪三振の多くは伝家の宝刀で奪ったが、プロの世界は甘くない。武器になるのは間違いないが、使い方にはひと工夫がいるとのアドバイスだ。

 「15勝してほしい。私や(明大&中日先輩の)杉下(茂)さんの背番号20をもらうようにしないとな」と大きな期待も受けた。柳は「お会いしたことはありましたが、いろいろな言葉をいただいたのは初めて。数字を出してもらえるのはうれしい。でも甘くない世界だともおっしゃっていた。自分は1つ1つと思っています」と感謝しきり。星野氏の金言を胸に大活躍を目指す。【柏原誠】

<星野氏の現役時代の活躍>

 ◆通算146勝 中日在籍中の勝利数は(1)山本昌219勝(2)杉下茂211勝に次ぎ3位。2桁勝利は計8度、73年からは5年連続と安定感は抜群。投球回2128イニング2/3も(3)位、1225奪三振は(6)位と、球団を代表する成績を残した。

 ◆巨人キラー 巨人戦通算35勝は、中日投手として(1)山本昌43勝(45敗)(2)杉下茂38勝(43敗)に次ぎ3位。上位2人はいずれも負けが先行しており、31敗で貯金4の星野は貴重な勝ち越し投手。

 ◆胴上げ投手 優勝した74年は先発と救援でフル回転。15勝10セーブと投げまくり、優勝決定の10月12日大洋戦(ダブルヘッダー第2試合)では胴上げ投手に。同年に導入された最多セーブを獲得し、沢村賞も受賞。巨人の10連覇を阻止してのVの立役者。