初アーチで1回転! 沖縄・那覇で自主トレ中のロッテ岡田幸文外野手(32)が17日、抜群の身体能力を見せた。猛練習の合間にバック宙を披露。体操選手顔負けの鮮やかな回転で、一緒に自主トレをしている福浦たちを沸かせた。プロ入り以来2443打席本塁打なしが続くが、念願の1発を放った際には、バック宙で豪快にホームインすることを宣言した。

 両翼ポール間走を10本こなしても、岡田は元気いっぱいだった。南国の太陽の下、芝生に立つ。福浦らが見守る中、側転で勢いをつけて思い切り上に跳んだ。くるんと1回転。見事にバック宙を成功させた。「びびらないことです。バネですよ、バネ」と事もなげ。中学校の時、体育の授業でバック転を習ったのが始まりだ。ただ「手を突くのが怖い」と野球への影響を考えた。そこで、手を地面に着いて回転するバック転ではなく、バック宙に挑戦。「すぐに出来ました」。身体能力のなせるワザだった。

 ひそかな野望がある。「ホームランを打って、バック宙ができるように。夢ですね。秋山さんばりに」と、かつて西武秋山が見せたバック宙ホームインを思い描いた。プロ入り以来、昨季まで2443打席本塁打なし。プロ野球記録である阪神赤星の2528打席に残り85打席と迫る。「86打席目で打ちたいですね。どんな記録でも持っていた方が良いから」と、いたずらっぽく笑った。

 打力を向上させたい、というのが真意だ。「打撃は下半身」と、これまでやっていなかった下半身の筋トレに着手した。さらに、体重アップをもくろむ。スマートな体形からスピードを生むが、梅雨時に調子を落としてスタメンを外れることがあった。1年間戦うボディーを手に入れるべく「おなかいっぱいでも、おかわりしてます」。既にこの5日間で1キロ増えて69キロに。「シーズン中は70キロを維持したい」と掲げた。

 忘れられないバック宙がある。中日を破り日本一となった10年。胴上げの後、左翼席のファンの前で3回、跳んだ。「優勝して、またやりたいですね」。初アーチで。そして、優勝で。繰り返し跳ぶ日を目指す。【古川真弥】

 ◆球界のバック宙 西武秋山のバック宙ホームインが有名。抜群の身体能力を生かし、公式戦だけでなく、日本シリーズでも披露した。新庄は阪神時代の97年に春季キャンプで披露。日本ハムに移った04年の開幕前にも、鎌ケ谷での練習中に2回、跳んだ。中日のマスコット、ドアラは7回裏の攻撃終了後、連続バック転に続いて1回宙返りに挑戦している。着地がうまくいった日は、中日が勝つといううわさも!?