ストップ・ザ・新井さん! 阪神能見篤史投手(37)が17日、昨季のセ・リーグMVPの広島新井貴浩内野手(39)をターゲットに定めた。この日、キャンプ地の沖縄・宜野座村営野球場で自主トレを公開し、昨季打率4割6分7厘、2本塁打と打ち込まれた天敵封じに闘志を燃やした。チームの雰囲気をガラリと変えてしまう大ベテランを今季は食い止める。

 カープファンが奏でるチャンスマーチが耳にこびりついている。気温20度を超える宜野座球場。汗をぬぐった能見は、鬼気迫るような表情でマウンドをにらむ新井の姿を思い浮かべた。

 「嫌やなというよりも、いろんなボールが合うんですよね。タイミングの問題。工夫は毎試合しているんだけどね…」

 プロ13年目に臨むベテランは、大きな宿題を残している。昨季の新井との対戦成績は15打数7安打の打率4割6分7厘、2本塁打、8打点。極端な数字だった。

 広島戦は昨年2勝3敗だったが、4月24日に完投勝利を挙げるなど特別苦にはしていない。だが、なぜか「新井さん」には打ち込まれる。もちろん、シーズン中にも試行錯誤を重ねた。それでも打たれる。勝負どころで打たれる。まるで心を見透かされているようなのだ。

 「新井さんもずっとやってきた選手。『読み』もある。中心としてやられているんで打てば(チームが乗る)」

 背番号25のフルスイングはカープを燃え上がらせる。昨季はそれを痛感した。特に8月16日の一戦では第1打席から先制本塁打、犠飛、タイムリーと3打点を許した。どうしても抑えないといけないキーマンだ。

 タイミングを変え、データから弱点を洗い出して「打倒新井さん」に挑む。南国沖縄で体を動かしながらもイメージを膨らませている。この日はチーム能見のメンバーである岩貞、緒方、梅野らと30メートルダッシュにシャトルランなど、「瞬発系」を次々とこなした。

 「動きは年齢を重ねると差がつくと感じるけど、そこで妥協せずについていく。刺激をもらっています」

 今季は3月31日の開幕から広島3連戦が待つ。シーズンの行方も左右しかねない能見VS新井。形勢を逆転させてみせる。【桝井聡】