世界の頂点へ向けて、日本ハム大谷翔平投手(22)が、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が控える17年シーズンを本格的にスタートさせた。20日、自主トレを行う千葉・鎌ケ谷で、今オフ初めてブルペン入り。捕手を立たせたまま22球を投げた。投球を収めた映像は、すぐに栗山英樹監督(55)の元へ届けられ“遠隔チェック”。夜には都内で、西武秋山翔吾外野手(28)と「J SPORTS 開局20周年プレス発表会」にも参加した。

 キャッチボールを終えた大谷は、小高い丘に、歩を進めた。昨年11月の侍ジャパン強化試合以来、約2カ月半ぶりのブルペン投球再開。捕手を立たせたまま、22球を投げ込んだ。「久々に傾斜を使いましたけど、思ったより良かった。ただ強く投げたときはまだしっくりこないときもあります」。シーズン中とは違い、WBC球でのノーワインドアップ投法。フォームのバランスを整えるための試みだと説明した。

 捕手の1メートル後方には、カメラを手にするスタッフの姿があった。撮影動画はすぐに、本社イベントで幕張に滞在していた栗山監督の元へ送られた。主力選手の初ブルペンとはいえ、自主トレ期間中の投球練習を指揮官が即チェックすることは異例。「思ったより、すごく良かった」。運用の難しい二刀流。侍ジャパンでの起用法について、同監督は侍ジャパンの小久保監督ともコミュニケーションを取り、最大限にサポートすることを約束している。この日の動画は、今後の貴重な材料にもなりそうだ。

 練習後は、都内のホテルに移動し、代表でチームメートでもある西武秋山とトークイベントに参加した。先発登板が濃厚な3月7日キューバ戦(東京ドーム)へ向けて問われると「身体能力が高い。特に打力は、当たればすごく飛ばす。(制球を)間違えられないなと思う」と気を引き締めた。

 準決勝で敗れた前回大会は入団直後。テレビで観戦していた。「プレッシャーがかかる試合が(シーズンの)最初にあるのは、楽しみでもあるし不安もある。注目度の高い大会なので、野球に興味がなかった人にも興味を持ってもらえる」。自身の将来、そして日本球界のためにも大事な一戦。都心でも雪がちらついたこの日、大谷の闘志はヒートアップしてきた。