マー君にも正義が勝った! ソフトバンクのドラフト1位、田中正義投手(22=創価大)が1日、キャンプ初日から首脳陣をうならせた。午後0時半すぎに注目のブルペン入り。チーム関係者、報道陣、ブルペン外には一般客の観覧スタンドもあり、約150人が見守る注目の“初投げ”で称賛の声を上げたのは辛口でなる佐藤投手コーチだった。

 「ゆったりとしたフォームからビュッと(球が)来るので打者は近く感じるだろうな。体がでかいし、打者はイヤだろう。まっすぐは、オレが初めて見たときのマー君より上だな」。メジャーで活躍するヤンキース田中を引き合いに出し、新人右腕を褒めた。佐藤コーチの回想は楽天コーチに就任した09年。田中将がプロ3年目だから、大卒の田中正義とは2年差の比較だ。それでも直球の威力にはルーキーに軍配を上げた。

 「マー君にしてもダルビッシュにしても困ったときはスライダーだったろう。(入団時は)直球も150キロがまだ出ていなかった。(田中正義は)今でも常時150キロが出るんだから、2人より上だよ」。

 田中は7、8割の力で45球。フォームを確認するように丁寧に投球した。ブルペンでは熱すぎるほどの視線を浴び「異様な雰囲気」と表現した田中だが「(雰囲気に)左右される感じはなかった」と、涼しい顔で話した。最後の6球はクイックで締めた。ランチ前の午後の投球だっただけに「(投球は)そんなに良くなかった。結構、おなかもすいていたし」と、気負いもなかった。第2クールからは打撃投手も務める。「大事なのはこれから。しっかり打者を抑えられるようにしたい」。この日は苦手の12分間走もノルマを一発でクリア。マー君をもしのぐ大物新人への期待度はさらに急カーブを描く。【佐竹英治】