楽天オコエ瑠偉外野手(19)が久米島春季キャンプの2日、右手薬指を剥離骨折している疑いがあるため、チームを離脱した。都内の病院で精密検査を受け、今日3日に久米島に戻る予定。2軍でリハビリを開始する方針。キャンプ前日の1月31日の合同自主トレは、胃腸炎のために欠席。昨年のドラフト1位が、波乱の2017年シーズンを迎えた。

 午前10時ごろ、久米島球場正面にオコエが現れた。ユニホーム姿ではない。用意された車に足早に乗り込むと、球団関係者が「察して下さい」とだけ言い残して宿舎に直行した。着替えを済ませ、久米島空港から空路で那覇を経由し、羽田に到着した。ワインレッドのニットに紺色のデニム、キャップを後ろにかぶり、赤色のスニーカーというラフなスタイル。報道陣の問いかけには無言のまま、同行したトレーナーとタクシーに乗り込んだ。

 向かった先は、都内の病院だった。前日1日に右手薬指付け根の違和感を訴えた。昨秋のフェニックスリーグで同じ箇所に若干の痛みを抱えていたという。剥離骨折の疑いがあり、精密検査を行うために設備が整う病院を選択した。この日は、若手選手などが参加する早朝の早出練習に不参加。午前9時ごろにウィーラー、アマダーらと一緒に球場に到着した。ウオーミングアップはこなしたが、検査を受ける形となった。

 報告を受けた梨田監督は「非常にもったいない。1人欠けることはチームにとっても痛い」と淡々と話した。池山チーフ打撃コーチも「自分の体は自分が一番知っていないといけない。プロなんだから、自己管理も仕事」と苦言を呈した。

 キャンプ前日に胃腸炎の影響で合同自主トレを欠席。宿舎の部屋も隔離された。キャンプ初日の前日1日はフルメニューを消化したが、続けざまのアクシデントに梨田監督も「つまずきましたね」とため息だ。今オフはレンジャーズ・ダルビッシュの下でトレーニングを受けた。体重は入団時から8キロ増の98キロ、身長は2センチアップの185センチと屈強な体を手に入れた。「1年間、1軍にいること」を目標に掲げていた矢先に厳しいスタートとなった。今日3日に久米島に戻り、2軍でリハビリに努める。完治を優先させ、1日も早く万全の状態に戻すことが求められている。

 ◆オコエのお騒がせ 16年1月の入寮時は黒のセーターにグレーのダウンジャケットを羽織って登場。到着後はジャージー姿に着替え、他のルーキーが制服やスーツ姿の中で唯一私服での入寮だった。キャンプイン前日には頭頂部を残してサイドと後頭部をV字に刈り上げた、自称「オレ流ヘア」で登場。報道陣から注目を浴びた。3月13日の中日とのオープン戦では途中出場から右翼の守備に就いたが、4回に森野の飛球を見失い、背中の後ろで弾むエンタイトル二塁打を献上。しかし5回のチャンスで適時打と、良くも悪くも存在感を放った。

 ◆剥離骨折 骨の衝突や摩擦によって起こる骨折。指や肘に、強く外傷を受けた場合などに起こる。骨が本来の位置からはがれるという点で、裂離骨折と同義に扱われることもある。こちらは筋肉が瞬間的に収縮することによって生じる骨折。腱(けん)や靱帯(じんたい)が過度に引っ張られることで、付着部分が骨と一緒に引き裂かれる。運動中や、事故による衝突や転倒などで起こりやすい。個人差があるが完治までに時間がかかるとされている。