ヤクルト小川泰弘投手(26)が、プレート板の立ち位置を一塁側に変えて開眼した。沖縄・浦添キャンプ第1クール最終日の4日、2日連続のブルペン入り。投球中に立ち位置を一塁側に変えると、課題だった右打者の外角低めへの直球を次々と決めた。113球目で止めようとしたが「つかんだかな」と続行し、今キャンプ最多の122球。「投げやすかったし、球に強さが出た。発見もあった」。思わず笑みがこぼれた。

 数十センチの差で、光が差し込んだ。昨季まではプレート板の三塁側を踏んでいたが「右打者のアウトローを狙った球が、少し内側に入ることが多かった」。制球ミスを減らすため、この日はプレートの真ん中から投球を開始。捕手の西田から「外の球が弱い」と指摘された。一塁側に立ってからは球威、制球とも一変。「第1クールにやれることはやれた」と、うなずいた。

 疑問も解けた。「黒田さん(元広島)や野村さん(広島)は、なぜ一塁側に立つのか」。三塁側から右打者の外には角度をつけ、内は直球で突いていた小川に、答えが見えた。「自分の場合は外の直球が良くなったし、内には黒田さんや野村さんのようなシュート系の球が生きる」。これまで多投しなかった変化球も加えて投球の幅を広げる「引き出し」をつくった。

 投球を見守った真中監督は「現状、開幕投手候補の1番手」と言った。視察に訪れていた佐々木主浩氏(48=日刊スポーツ評論家)も「この時期で体を大きく使い、力のあるボールを投げられている。全く心配ない」と太鼓判を押した。1月の自主トレでカブス上原から教わったフォークも身に付けた「ニュー・ライアン」が、さらなる進化を遂げる。【鹿野雄太】