V奪回を目指すソフトバンクが超攻撃的な機動力野球を打ち出した。第3クールがスタートした11日、実戦形式のシート打撃が始まった。投手対打者の実戦対決の中で、しっかりと選手たちに植え付けられたのがアグレッシブな走塁だった。

 今季から三塁ベースコーチとなった村松外野守備走塁コーチは言う。「いいスタートが切れたら行く、ではなくて、ディスボールくらいのタイミングで行ってほしい。アウトになっても構わない」。走者を置いた状況で投手がワンバウンド投球した場合は、すべてGOだ。紅白戦、オープン戦でもこの方針は変わらず、徹底して攻撃的な走塁を仕掛けていく考えだ。この日は中村晃、本多、張本が二塁走者で投手のワンバウンド投球に三塁を陥れた。「ほとんどノーバウンドに近い投球だったけど、投手がリリースした瞬間、ボールの軌道が低いと思ったので走りました」。本多はさも当然とばかりに話した。

 同じ屈辱を味わうわけにはいかない。昨年は日本ハムに優勝をさらわれた。走攻守で宿敵より消極的だったのが「走塁」だった。村松&鳥越の新ベースコーチは昨年の日本ハムのチーム盗塁数(132個)を上回る150盗塁も今季のノルマに掲げた。2人の走塁コーチは99年に王ホークスが初優勝を達成した時のV1戦士。村松コーチは96年に58盗塁でキングに輝いた足のスペシャリストでもある。「リスクを冒さない、ではなくて、リスクを冒してでも次の塁に行くという積極的な気持ちを植え付けたい」と、村松コーチは言い切った。

 新助っ人デスパイネの加入も決まった。破壊力満点の打力に攻撃的な機動性が加味されれば、負ける要素は見当たらない。【佐竹英治】