レジェンド左腕も太鼓判-。中日大野雄大投手(28)が16日、江夏豊氏(68)からオレ流エールを受けた。「13、14勝は確実」とありがたいお告げを受け、朝倉コーチとの衝突騒動には「一番強いのは選手」とハッパをかけられた。江夏氏ならではの激励に刺激を受けた大野は「負けないように迫力のある投手になる」と誓った。

 緊張感が漂っていた。ブルペンにドンと座った江夏氏が、大野の投げる1球1球に注視。55球を投げ終えると、通算206勝193セーブのレジェンド左腕の元へ、あいさつに走った。

 初めての対話だったが、森監督を交えた空間には笑顔も見えた。江夏氏は「大野はもともと、力のある投手。精神的にムラがあるけど、そこを磨けば打線の援護があれば確実に13、14勝する」と明言。さらに付け加えた。「先日、朝倉(コーチ)と何かあったらしいけど、一番強いのは選手。だから頑張れよと応援したんだ」。己の力を信じてプロの世界を生き抜いた同氏らしい言葉で激励した。

 大野がまだ生まれていなかった79年の日本シリーズでの伝説は、山際淳司氏の著書「江夏の21球」を読んで知っていた。直接、エールをもらい「名前を覚えてもらっていたのはうれしい」と感激。「同じ左ですし、江夏さんに負けない迫力のある投手になりたい」と目を輝かせた。

 19日には練習試合・楽天戦(北谷)に登板予定。この日のブルペンでは、打者との対戦を想定して投げた。「いいボール、スピンの利いたボールはあるけど、もっと精度を上げないといけない」。10日のシート打撃では平田とゲレーロに本塁打を許しており、対外試合のテーマは明確だ。

 昨年はケガにも泣き、7勝10敗と負け越した。2年連続開幕投手を目指す今季は、打者を圧倒する迫力も武器にする。【宮崎えり子】

 ▼10日、大野は1つの練習メニューを通例に従い免除だと認識し消化しなかった。その解釈の違いから朝倉コーチがとがめた。休日明け14日、練習メニュー表の大野の欄だけが「白紙」となるなど、両者の衝突が表面化した。15日に友利コーチが立ち会い、2人が会話。練習メニュー表に内容が書き込まれ、14日には入れなかった朝倉コーチによるノックも受けるなど和解した。