春季キャンプ各クール終了時に、担当記者が選んだ「ピカイチルーキー」を紹介します。イチオシ新人を心技体3段階(◎文句なし、○順調、△もうひと踏ん張り)でチェックします。



ロッテ宗接、心と体は通用 技磨けば

 ロッテのドラフト7位、宗接唯人捕手(22=亜大)【心=◎、技=△、体=○】

 ロッテは、1軍の石垣島キャンプが21日で終了した。宗接も完走した。

 心 担当の田口バッテリーコーチは「言われたことをやり続ける。しっかりしている。意思表示もできる」と、心構えを評価した。キャンプ中は連日、同コーチの猛特訓を受けたが、へこたれることはなかった。堂々の◎だ。

 技 田口コーチは「まだまだ足りない。本人も分かっていると思う」と、厳しかった。課題として挙げたのは、スローイングだ。「コントロールは良いが、もっと速さをつけないといけない」と同コーチ。正確性を誇る田村や、強肩の吉田に勝るためには、○ではなく、あえて△で。プロでの成長に期待したい。

 体 田口コーチは「体は強い。鍛えがいがある」と目を細めた。スローイングを向上させるためには「体のキレ、体力が必要」だという。成長できる素質はある。1軍キャンプを無事に終えたことも含めて、○だ。【ロッテ担当 古川真弥】


ヤクルト星、球速はチームNO・1

 ヤクルト・ドラフト2位 星知弥投手(22=明大)【心=◎、技=◎、体=◎】

 ブルペンで投げるたびに評価を上げている。19日は今キャンプ最多100球の投げ込み。力強い腕の振りから放たれる威力十分の速球に、受けた捕手は「あの真っすぐはすごい」と口をそろえる。球速は早くもチームNO・1との呼び声高い。真中監督も「ボールが力強いね。実戦が待ち遠しい」。監督は中継ぎ、抑えでの起用を示唆している。

 変化球の精度も増してきた。19日はブルペン捕手に両打席に立ってもらい、スライダーやフォークも低めに決まった。星は「直球は普段と変わらないけど、変化球は打席に立ってもらったほうが投げやすかった」と笑顔を見せた。

 22日からの最終クールでフリー打撃に初登板する予定。「早く(打者に)投げたい気持ちはあるけど、ゆっくりでも開幕に間に合えばいい」。3月上旬の実戦デビューと開幕1軍へ向け、着実に前へ進んでいく。【ヤクルト担当 鹿野雄太】


ソフトバンク田中「思い切り腕を振る」

 ソフトバンク・ドラフト1位田中正義投手(22=創価大)【心=○、技=○、体=○】

 19日に初となる紅白戦に登板し、2回を投げ1安打1失点(自責0)と及第点の結果を残した。「あまりよくもなく、悪くもなくという感じです。思い切り腕を振ることを考えて投げました」。

 1イニング目には味方の失策もあって失点したが、牧原からフォークで空振り三振を奪う場面も。2イニング目は3者凡退に抑えた。この日は直球中心で変化球はカットボールとフォークのみ。最速は152キロだった。

 今後は対外試合での登板が待っている。田中は「どうやったらベストパフォーマンスが出せるのか。しっかりやっていきたい」と話しており、敵チーム相手にどんな投球を見せるのか、注目を集めそうだ。【ソフトバンク担当 福岡吉央】

紅白戦に登板した田中正義は2回を投げ1失点の成績(撮影・梅根麻紀)
紅白戦に登板した田中正義は2回を投げ1失点の成績(撮影・梅根麻紀)

藤浪の同期オリックス沢田は間合い独特

 オリックス・ドラフト8位沢田圭佑投手(22=立大)【心=◎、技=○、体=○】

 チーム初の対外試合となる18日の広島との練習試合に、5番手で実戦初登板した。投げっぷり良く、1回を3者凡退で料理。独特の間合いで打者のタイミングを外し続けた。キャンプ2軍在籍ながら、1軍首脳陣に存在をアピールした。

 「2軍コーチからは甘い真っすぐでもファウルが取れるようにと言われている。それができたのが良かった」。実戦派の本領を発揮し、新人4人が1回無失点だった中でもキラリと光った。福良監督からも「どんどんストライクが取れたし、打者がタイミングがとりづらそう」と評価された。

 178センチ、96キロのぽっちゃり体形。大阪桐蔭では藤浪(現阪神)とともに甲子園春夏連覇に貢献した。「(ドラフト1、2位の)山岡、黒木はすごいですよ。自分は今、アピールしないと3月の登板がなくなってしまうんで」と置かれた立場を理解している。次回は26日の韓国・斗山との練習試合に登板を予定。再び好投を見せたい。【オリックス担当 大池和幸】

練習試合1回を投げ無失点に抑えた沢田圭佑(写真は2017年2月18日)
練習試合1回を投げ無失点に抑えた沢田圭佑(写真は2017年2月18日)

阪神糸原、疲労感じさせない「体」に◎

 阪神ドラフト5位糸原健斗内野手(24=JX-ENEOS)【心=○、技=○、体=◎】

 キャンプ前は「声でアピールしたい」と言葉の通り常に元気ハツラツな動きを見せる。「心」は○。

 「技」は○評価。2度の練習試合にはいずれもスタメン出場。「当たり前のプレーをきっちりこなすこと」と二塁、三塁の守備では軽快な動きを見せる。金本監督からは「さすが社会人を経験している選手ですな」と評価される。

 キャンプは3分の2を経過。現段階で故障による離脱はなく、いつも疲労を感じさせない。文句なしで「体」は◎評価とした。【阪神担当 山川智之】

阪神対日本ハムの練習試合、三塁手として練習試合にスタメン出場する糸原(撮影・清水貴仁)
阪神対日本ハムの練習試合、三塁手として練習試合にスタメン出場する糸原(撮影・清水貴仁)