今秋ドラフト1位候補の後輩に、プロの貫禄をバットで伝えた。

 JR東日本出身の巨人寺内崇幸内野手(33)が22日、宮崎で行われたJR東日本と巨人2軍との練習試合に「2番・二塁」で先発出場。最速152キロ左腕の田嶋大樹投手(20=佐野日大)と対戦し、2打数2安打3打点と完璧に打ち砕いた。今季初実戦で幸先のよい滑り出し。絶対的存在が不在の二塁争いに、猛アピールを続ける。

 古巣への思いを力に変えた。2回2死満塁。田嶋の外角直球を、寺内が完璧にはじき返した。強いライナーが左中間を弾む間に走者3人を本塁に送り込み、悠々と三塁を踏んだ。「うまくボールを上からつぶせました。まだ初めての試合なので課題はこれから出るでしょうが、後輩の前でこれだけやれたのはよかったですね」。栃木工高を卒業後にJR東日本へ進み、06年ドラフトで巨人入り。この日は持ち味の守備走塁ではなく、絶好機での強打を後輩へのエールとした。

 その姿が最高の教材だった。初回は4球ファウルで粘った直後に右前打。田嶋は「社会人には通用していた真っすぐも、寺内さんなど、プロの1軍で活躍するバッターにはファウルにされてしまう」と、トップレベルとの距離感を肌で感じ取った。寺内は「球が速くて、いいピッチャーでした。これから必ず伸びてくると思います」と高いレベルでの再会を楽しみにする。後輩との対戦で残した好結果を弾みに、正二塁手争いに食い込んでいく。