今年こそ、プロ8年目の正直だ。阪神のオープン戦開幕投手を任された秋山拓巳投手(25)が、昨年日本一の日本ハム打線を相手に4回1安打無失点と好投。立ち上がりの3者連続に始まり、毎回の7三振を奪うなど安定した投球で開幕戦の勝利投手になった。

 「初回に点を取られることが多かったので、初回から全力でいきました。収穫はストレート。空振り、ファウルを取れてカウントを作ることができ、他の球種が生きました」。低めに決まった直球には、確かな手応えがあった。一方で、省エネを目指した球数は4回で68球。中島、レアードにはフルカウントまでファウルで粘られた。香田投手コーチも、安定した投球を認めながらも「(今後は)そういうところだろうね」と課題も挙げる。

 昨年のオープン戦開幕戦・ヤクルト戦は2番手登板。初戦の起用が続くのは、毎年のように飛躍、活躍を期待される立場にいるため。それでも昨年まではなかなかチャンスを生かせなかった。背番号も入団時の27から46に変わった。

 今年も青柳、横山、ドラフト2位の小野泰己(22=富士大)らと先発5、6番手を争う。この日の好投で、秋山の先発入りの可能性を聞かれた金本監督も「どうだろうね…。今日はいいピッチングしたし、本当に安定している。これをシーズンで出せるかどうか。今までも何回もあったんだから、そういうチャンスは」と慎重だった。言葉の裏には、大器開花への願いがある。これで今季の実戦は通算10イニング無失点。「先発ローテーションに入って、それを1シーズン守っていきたい」。悲願達成の年にする。【堀まどか】