広島堂林が復活ののろしとなる本塁打を放った。9回、阪神岩崎の135キロの外角直球をたたき、甲子園のセンターバックスクリーンへ運んだ。「2番右翼」で先発し、1回に中前打、3回は投手前のゴロで走者を進める進塁打。4回には中押しの適時打とつなぎ役に徹した。最後にとどめを刺す大仕事をやってのけた。

 「打った瞬間、いくと思いました。しっかりしたスイングが出来ました」

 状態の良さを表す1発だった。この打席は136キロの初球高めの直球にはバットが空を切り「振り遅れた」感覚があった。2球見逃して、4球目。同じ直球を今度は捉えた。「飛んでいるのは、いいスイングができているから」。堂林らしい中堅方向へ描いた放物線。両手には確かな手応えが残る。

 昨季終盤、ベテラン新井に弟子入りを志願。指導を仰いだ。オフには新井が通う広島市内のトレーニングジムで筋力強化し、1月には護摩行にも耐えた。今では「周りからよく言われる」ほど構えが似ている。沖縄2次キャンプ移動前日には、日南に残留する師から助言された。「ちょっとおかしいなという感覚があったけど、スッと解決できた」。この日の3安打で、オープン戦打率は4割2分9厘と好調を維持している。

 今年は三塁ではなく、外野、そして一塁で勝負する。オープン戦本塁打は意外にもプロ初。12年に144試合出場で14本塁打と台頭しながら、昨季まで2年連続の開幕2軍。ここ数年味わってきた悔しさをバネに、堂林が大きく跳ね上がろうとしている。【前原淳】