成長の左腕攻略だ。阪神高山俊外野手(23)が、オープン戦初の3安打をマークした。しかもすべて左腕から中前にクリーンヒットだ。「今日はたまたま良かった。結果が出てよかった」。新人王を獲得した昨年は右投手の打率2割9分に対し、左投手は2割4分2厘。この改善が目標の打率3割クリアにつながる。

 弱点克服だけでなく、この日は攻撃的な2番打者の片りんをのぞかせた。初回に上本が四球を選ぶと、2ストライクから強振し、一、三塁でチャンスを拡大した。2回には満塁で2点タイムリー。小技に頼らない強打の姿勢で12得点の猛攻に大きく貢献した。「甘い所は積極的にいこうと思った。1打席目は(進塁で)引っ張ろうと思った。できることはしっかりやりたい」。与えられた役割をこなそうと必死だ。

 高山は主軸を任せられる素材だ。しかしチーム構成上、今季は2番に置く可能性がある。併殺リスクを考えた場合、左打者の2番起用が指揮官の頭にあるからだ。それでも2年目のジンクスとは無縁の成長を見せる姿に思わず苦笑した。

 「もったいない気がする。悩ましいね。2番らしさを出してほしい時もある。だからといって、大きく育てたいし」

 小技が得意なタイプではないが、その分、バントだけに頼らない攻撃的な野球も目指せる。この日の大量得点がそれを証明した。まだ糸井や福留が打線に組み込まれていない。まだまだ模索は続きそうだ。高山の飛躍が開幕オーダーを惑わせる。【田口真一郎】