西武の浅村栄斗内野手(26)が1-1の4回、先頭で初球のスライダーを左翼スタンド上段へ運ぶオープン戦1号を放った。前日8日のWBC1次ラウンド・オーストラリア戦で、大阪桐蔭の先輩にあたる侍ジャパン中田(日本ハム)が放った決勝ソロを思い起こさせる会心の一撃だった。

 浅村は、初球に集中していた。スコアは1-1。侍ジャパン中田と同様に先頭打者として右打席に入ると、変化球に狙いを定めた。広島のドラフト3位、床田の初球、甘く入った131キロのスライダーをフルスイング。打った瞬間に本塁打とわかる特大アーチをかけた。「変化球を打っていこうと決めていた。いいスイングができて、感触も良かった」。状況、球種、コース、弾道は中田のソロとほぼ同じ。追い求めていた会心の当たりをかみしめながら、ゆっくりとダイヤモンドを1周した。

 ひと振りで空気を変えたかった。前夜は侍ジャパンの試合をテレビ観戦。日本を救った中田の1発に感激した。「あのプレッシャーの中で打てるのは、やっぱりすごい。さすがだな、と思った」。先輩に負けじと、狙った球を一撃で仕留めてみせた。「いろいろ考えながら、ミスショットすることなく打てて良かった」と手応えを口にした。

 背中で引っ張るリーダーになる。今季から浅村の左胸にはキャプテンマークがついた。背番号も「3」に変わった。2月のキャンプでは、全体メニュー後に居残りで行うロングティーを日課とした。「全部、柵越えを狙って思い切り振る」。居残りロングティーだけで約1カ月、4000スイング以上を振り込んだ。

 普段は口数が多いほうではない。優勝と3割、30本、100打点の目標を達成するため、誰よりもバットを振って自覚を表してきた。「ホームラン以外は、今までの試合も含めて良くない。まだ6、7割だけど、開幕に向けていい1本になると思う」。フルスイングを貫き、中田先輩を超える活躍を狙う。【鹿野雄太】