右足首痛で調整が遅れていた日本ハム大谷翔平投手(22)が、今季のオープン戦初出場で豪快な1号本塁打を放った。DeNA戦に「3番DH」で先発し、右越え2ランを含む3打数2安打2打点。札幌ドームでの初実戦で、きっちりチームの今季本拠地初アーチを決めた。イースタン教育リーグ2戦を含め今季の実戦6打数5安打2本塁打と、目指している打者での開幕出場へ加速している。

 大谷が、復帰への十分な手応えをつかんだ。6回無死一塁。カウント3-2、6球目の140キロ直球に初めてフルスイングした。ゆっくり、高く、放物線を描いた。右中間スタンドへの推定140メートルの特大2ラン。今季のオープン戦初出場で1号。チームにとっても札幌ドームで最初の本塁打だった。「感触は良かった。結構強く振れた」。大谷自身も納得の打席だった。

 初回の初打席は空振り三振だった。第2打席は初球を左翼へはじく二塁打とした。侍ジャパンから外れる要因になった右足首痛は、まだ「100%ではない」という。だが、2死一、三塁で相手の守備が乱れた際には、三塁から右足からのスライディングで本塁にかえった。人工芝での久しぶりのプレーに懸念もあったが、栗山監督は「とりあえず今のところは」と、状態の悪化がないことにホッとしていた。

 別メニューでの調整が続き、練習では孤独だった。心を和ますのはチームメートと過ごす時間。3日には大卒ルーキーら同学年選手と札幌市内ですしを食べに出掛けた。野球の話題はほとんどなく、22歳同士でたわいもない雑談で盛り上がったという。目標としていたWBCに参加できず調整が遅れる苦しさも忘れられる貴重な時間だった。

 オフに投球ができなかった分、打撃を練習に費やした。「変化球も真っすぐもどのコースもある程度見極められている」と成果を実感している。走塁には不安はまだ残るものの「野手としては出場できるんじゃないか」と、開幕を目指し前進を続けている。本来、自分も立つはずだったWBCの舞台裏で、大谷も必死に前を向いて戦っている。【保坂果那】