開幕1番バトルがヒートアップしてきた。オリックス戦で「1番二塁」に起用された阪神上本博紀内野手(30)が、3打数2安打1打点の活躍。打撃好調でオープン戦打率は6割9分2厘。成長著しく遊撃での出場が決定的な北條や、2号2ランを放った高山、ベテラン鳥谷との争いの中で存在感をアピール。高いレベルでの競争が、虎を引き上げていく。

 上本の必死さが際立った。「1番二塁」でスタメン出場するとオリックス・ディクソンの初球真っすぐをたたいて中前打。さらに2回も2死二塁の好機でやはりディクソンの初球を左翼にはじき返す適時二塁打をマーク。11日西武戦(甲子園)で途中出場、3安打を放ってから12日巨人戦(同)を挟み、この3試合で8打席連続安打の離れ業だ。

 「1打席1打席、結果が出ても出なくても、そのときの打席をしっかりやるだけ」。そう話した上本だったが「1番」での出場に意味があった。「17年型タイガース」は北條と高山の2人が1、2番でどう並ぶかが注目される段階と思われていた。しかし好調な選手を使う大方針でいけば今の上本にも可能性はある。背番号を「00」に変え、背水の今季に挑む元選手会長の気迫はあなどれない。

 さらに「1番」はこの試合「6番三塁」で出場した鳥谷にとっても慣れ親しんだ場所だ。聖域だった遊撃から二塁、あるいは三塁へのコンバートもすでに受け入れた。1番打者の座を鳥谷が意識していても何もおかしくない。

 そしてもちろん北條、高山だ。北條は「7番遊撃」でスタメン出場すると3回の適時打を含む2安打1四球。伸び盛りの実力を感じさせる。「2番左翼」の高山に至っては本塁打を含む2安打と、もはや打順は関係なく主力打者の貫禄だ。

 「(1番上本は)もちろん十分、視野にありますよ。鳥谷も含めてね。鳥谷も頭に入っているし。ああいうタイプはいっぱいおるわな、ウチは」

 目の色を変えている選手たちの姿に金本監督はニンマリと話した。17日からオープン戦の遠征が始まる。打順、守備位置を固めて戦う時期に入ってくるはずだが「1番打者」を含め、開幕直前まで激しい争いが続く気配だ。【編集委員・高原寿夫】