阪神金本監督がドミニカンの「怒り」を激賞した。1点リードで迎えた9回裏から、マテオが登板。逃げ切りのはずが、思いも寄らぬ展開が待っていた。先頭打者にヒットを許すと、二塁上本が連続エラー。同点の押し出し死球もあり、一瞬にして、サヨナラ負けの雰囲気が漂った。

 だが瀬戸際の状況で、スイッチが入った。キレのあるスライダーを武器に、荒木、谷内を連続三振。最後は中村を三ゴロに仕留め、ピンチを乗り切った。「あの状況では、三振を取るのが一番。いい結果になってよかった。いい意味で開き直って、投げようと思ったんだ」。助っ人右腕は興奮と安堵(あんど)を胸に、帰りのバスに乗り込んだ。

 この投球に、指揮官のボルテージが上がった。試合後の会見で、自らマテオの話題を切り出した。「今日は一番はマテオやな。あの怒りのピッチング。ああいう姿勢は好きや! 俺は大好きや! けんか腰で投げているみたいなね。あれでいいと思うよ。1イニングをバーンといくピッチャーだし、ああいう闘争心がね」。上本の失策はいただけないが、仲間のミスも闘争心で劣勢をはねのけた姿を絶賛した。

 「いい方向にブチ切れてくれたから。あのガッツをチームに浸透させたいよ」。金本監督はそう締めくくった。戦力の底上げが進みチームに、マテオの「怒り」が強烈なスパイスになった。【田口真一郎】