プレーバック日刊スポーツ! 過去の3月28日付紙面を振り返ります。2015年の1面(大阪版)は、阪神の開幕戦74年ぶりサヨナラ勝ちでした。

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 執念の80周年イヤー開幕戦だ。3点ビハインドを8回2死からの4連打で追いつき、延長10回。2死三塁でマット・マートン外野手(33)が遊撃の頭上にライナーをはじき返した。なんと1941年(昭16)4月3日阪急戦以来、74年ぶりとなる開幕戦サヨナラ勝利。長い歴史でも2度目となる快挙から、10年ぶりのリーグ優勝へ発進だ。

 おでこの赤い1本線がカクテル光線に照らされる。3時間40分、熱戦の証しだ。マートンは頭を締めつけていたヘルメットの跡を隠すことなく、くしゃくしゃの笑顔で仲間を待った。ゴメスに体当たりされ西岡に抱きしめられ…。15年開幕戦。猛虎80年の歴史を作り上げた先人たちもビックリの結末が待っていた。

 マートン 諦めずに戦って勝てた。大きいよ !

 球団創設80年目の開幕戦。全体練習後、ベンチ裏の選手サロンで出陣式が行われた。「一丸となって力を結集して戦おう。80年の歴史があるけど、俺たちで新しい歴史を作ろう」。和田監督が声を張り上げ、選手、首脳陣、球団スタッフ皆がハイタッチ。試合開始前にはバックスクリーン上の大型ビジョンに猛虎OBたちの勇姿が映し出された。メモリアルな一戦、決着をつけたのは歴史上稀にみる超優良助っ人だった。

 8回に3点差を追いつき、迎えた延長10回裏2死三塁。5番マートンが田島の外角スライダーに踏み込み、左中間にライナーを放った。41年4月3日以来、実に74年ぶり2度目の開幕戦サヨナラ勝利を飾った。

 ひそかに「開幕男」だった。米国時代から開幕の思い出には事欠かない。カブス時代の06年にはレッズ戦で初打席初本塁打を記録するなど3安打。来日後の11年にも広島戦でエース前田から先頭打者弾を放っている。中でも一番思い出深いのは、まだ22歳だった04年だ。1Aサラソタ・レッドソックスの一員として2発を含む3安打を決めた。

 マートン 04年は個人的には一番良かった。でも1Aと今ではレベルがちょっと違うからね。チームの勝利が一番大事。今日はサヨナラヒットを打てたのだから、これまでの開幕戦で一番になるんじゃないかな。

 開幕戦だけで満足するつもりはない。15年を野球人生で最高の1年に変え、虎の歴史を塗り替えるつもりだ。「去年は日本シリーズに進んだけどリーグ2位。今年はまずリーグ優勝したい。この1勝が、という違いになるようにしたいね」。10年ぶりのリーグ制覇へ。映画のようなシナリオで、キバむき出しの虎が走りだした。

※記録と表記は当時のもの