美しい馬が走ってきた。岸孝之投手(32)のインフルエンザによる離脱で、白紙に戻った楽天の開幕投手が27日、開幕3戦目に先発予定だった美馬学投手(30)に決まった。この日、仙台市内での必勝祈願に参加した梨田昌孝監督(63)が明言。「神のお告げがあってね。美馬だから、白い馬が見えたんだ」と、逆境をロマンチックに表現した。

 開幕戦(岸)、2戦目(安楽)を託した投手が立て続けに離脱する異常事態でも、梨田監督は落ち着き払っていた。岸の代役を考える際「則本も浮かんだけど、次のカードで進めていたからね。そこを崩すと大変になるから」。先を見据えて則本は外したという。

 この日オフだった美馬は、荷物整理で偶然に球場を訪れていた。梨田監督に大任を告げられると一瞬、驚いた様子だったが「あるかもしれないとは思っていた。任されたので、やらなきゃいけないと思いました」と、冷静に受け止めた。

 新横綱・稀勢の里の優勝も刺激になったはずだ。美馬の母校の茨城・藤代中と、4番でエースだった稀勢の里のいた長山中は、隣町のライバル。負傷をはねのけ、感動の優勝を決めた旧友に続き、今度は美馬がチームの危機を救う。【鈴木豊】