中日森繁和監督(62)が陽動作戦に出た。27日、横浜市で開幕前恒例の「セ・リーグ ファンミーティング」に出席。予定通りに開幕投手は大野と公表したが、この時点で明かせなかった巨人高橋監督に「決めてないなら、うちも変えますよ」とけん制した。

 「WBCを見ていて、菅野投手はあれだけのボールを投げていた。僕が監督なら外します。ゆっくり次のカードにいってもらいます」とたたみかけて、敵将を苦笑いさせた。

 もちろん大野の先発は不動だが、イベント後も「知らないよ。大野じゃないかもしれない。(公表は)決まりごとじゃないから」と不穏にコメント。神経戦はお手のもの。オフにDeNAからFAした山口をめぐり巨人と争奪戦を演じた。敗れた直後は「無防備で取られるのもシャク。あっちは余分な金をかけたかもしれんし」と“嫌がらせ”の効果を強調した。

 「相手の嫌がる野球」を掲げる新指揮官。結局、夜になって高橋監督は開幕投手をマイコラスと公表した。ただ、壇上で森監督は「情報によると…」とも言っていた。広い人脈を駆使して、前から菅野の回避情報をつかんでいた? または歴戦の策士の勝負勘か。たとえ予告先発制でも、戦いを優位に進めるために知略をめぐらす指揮官らしい動きだった。【柏原誠】