ボールの違い問題なし! WBC出場組の阪神藤浪晋太郎投手(22)が28日、ウエスタン・リーグのオリックス戦(鳴尾浜)で帰国後初実戦に臨み、6回1安打無失点と好投した。WBC球から日本の公式球に戻して初のマウンドだったが、無四球と安定した投球。視察した金本監督も納得顔で、シーズン初先発する4月4日のヤクルト戦(京セラドーム大阪)へ、弾みをつけた。

 まずは優しくボールをこねた。4カ月ぶりの“再会”。長年、慣れ親しんだ感覚はすぐに取り戻せた。藤浪は丁寧に統一球を扱いながら、脱力投法で淡々とアウトを積み重ねた。6回無失点。「変化球をうまく使ったり、カウントを整えたりできたのは収穫です」。最終調整は上々の出来だ。

 帰国後初の実戦マウンド。昨秋から手になじませてきたWBC球に別れを告げての一戦だった。序盤は変化球主体でボールの感触を確かめる。中盤以降は変化球狙いを逆手に取る形で直球を増やした。「カットボールとかは、ブルペンで球速を出しにいこうと思うと曲がらなくて。曲げようとすると緩くなってしまって、今日に関しては難しかった」。変化が大きくなりがちなWBC球とのズレを埋める作業を続けながら、出した走者は投ゴロ悪送球、内野安打の2人だけだ。

 2、3月のWBC関連5試合はいずれも四球か死球を記録。この日は無四球の安定感が光った。最速は147キロと控えめでも、6回を98球でまとめ上げた。

 藤浪 (直球で)ガンッといく時はいかないといけないし、ポンポンとカウントを取りたい時はリラックスして今日みたいな感じで投げられたらと思っています。ある程度、球威は自分の魅力でもあるので、うまく使い分けていけたら。

 他国の屈強な打者を封じるため、WBCに向けて緩急を意識したスタイルに挑戦した。“大人の投球術”はシーズンでも活用できそうだ。「試したいこともある。配球とか投げ方、考え方とか…」。侍ジャパンで一流投手たちから学んだすべも引き出しに入っている。

 WBC本大会で登板したのは10日の1次ラウンド中国戦2イニングだけだった。日本時間19日(現地18日)に米国で練習試合カブス戦に投げて以降は実戦から遠ざかっていたが、シーズン初先発の4月4日ヤクルト戦へ、ブランクの不安も一気に吹き飛ばした。

 藤浪 今できる最高の準備はしてきたつもり。ベストではないですが、1軍の試合で投げられない状態でもない。残り1週間、なんとかして上げていきたい。

 この日は1軍練習のチェックを終えた金本監督も鳴尾浜まで視察に訪れていた。指揮官は「いけそうやね、開幕は」と満足顔。想定通り、いやそれ以上にスムーズに、藤浪が虎5年目を迎える。【佐井陽介】

 ◆WBC日本代表での藤浪 2月25日ソフトバンク戦、3月1日台湾選抜戦で救援登板しともに無失点も、各1四球。先発した5日オリックス戦では、初回に2四球と自らの失策もからみ2失点と荒れ模様。唯一の本大会登板となった10日中国戦では4回からマウンドへ。2死から四死球でピンチを迎えたが、以降4連続Kでしのいだ。渡米後の日本時間19日(現地18日)カブス戦では計4四球。3回には2四球を出し1イニング41球を要するなど、制球に苦しんできた。