秘密兵器「ランディ君」!? 阪神とのシーズン開幕戦(31日、マツダスタジアム)を3日後に控えた広島は28日、今年初のナイター練習を行った。ケース打撃やノックの後にフリー打撃が行われる中、一塁ファウルゾーンに阪神開幕投手メッセンジャーを想定した練習が行われた。ベテランも外国人選手もフルメニューを消化。WBC組が居残り練習を行うなど、連覇へ向けた準備は着々と進んでいる。

 「ズドン」「ズドン」。今年初めてナイター照明の下で練習が行われたマツダスタジアムに機械音が響いた。一塁ファウルゾーンに設置されたピッチングマシンから放たれた白球がネットを突く。速い-。それもそのはず。球速は最速に設定され、通常バント練習する距離からホームベースを1メートル近づけ、約13メートルの距離。さらにマシンは2つの台を重ねた上に置かれ、高さは40センチ超増し。タイミングを合わせてスイングを繰り返した選手の中には「160キロ以上は出ているんじゃない?」とこぼすものもいた。

 イメージは開幕戦で対戦する阪神メッセンジャー。2つの台の上に置いたのは初めてで、身長198センチを想定した高さから角度が付けられた秘密兵器「ランディ君」で目を慣らした。発案者の石井打撃コーチは「企画倒れかな」と苦笑いしつつ「ナイター照明の下ではスピード感が違う」と狙いを説明した。

 昨年もクライマックス・シリーズ前に約20センチの台の上に置かれ、日本シリーズ前は大谷を想定して約20センチの台に置いた上で距離を縮める対策を行った。CSではDeNA投手陣を打ち崩し、日本シリーズでは大谷から2本塁打放つなど6回3得点。成果はあった。

 昨季3試合対戦し、1勝1敗で計13イニングで19点奪っているメッセンジャーにも油断などない。緒方監督は阪神金本監督が公の場で開幕投手を発表した前日27日のファンミーティング後に「去年は去年。今年はまた新たな1年」と引き締めていた。開幕4番が濃厚な新井も「誰が相手でも、どこが相手でもベストを尽くすだけ。いい準備をする」と冷静だった。

 練習開始1時間前にはミーティングが行われ、今年初のナイター練習は4時間近く続いた。「開幕戦に合わせてしっかり準備をするだけ」と指揮官。わずかな隙も見せない。最善の準備をして、開幕のときを待つ。【前原淳】