中日ドラフト2位京田陽太内野手(22=日大)が、いきなりバットと足で強烈なインパクトを残した。7番遊撃で先発出場。5回無死二塁に巨人マイコラスから右前打でプロ初安打。その後、杉山の左翼への犠飛で二塁に進塁する好走塁。続いて、好判断に一気に本塁へ生還するなど、森野球を体現。開幕戦に敗れたが、走塁革命を掲げる森監督の初陣にルーキーが光りを差し込んだ。

 完全アウェーな東京ドームを京田が足で沸かせた。0-4の5回無死二塁、巨人マイコラスの高めへの直球を右前に運び、プロ初安打だ。12球団の新人最速安打を刻んだが、それだけでは終わらなかった。8番杉山の左翼への犠飛の間に、一塁走者の京田は二塁を陥れ、チャンスを拡大。「自分の判断で行きました。レフトの捕球体勢が悪かったので、行けると思いました」。さらに大野の二塁へのライナー性の当たりに二塁へ戻ったが、抜けたと分かった瞬間に再びスタート。一気に本塁までかえった。

 50メートル5秒8の快足を武器に、森監督新体制で遊撃では99年福留以来の開幕スタメンを勝ち取った。森監督は就任以降、機動力野球を徹底してきた。オープン戦では昨年の5盗塁から大幅増の28盗塁。この日、東京ドームに到着直後、ベンチ裏のサロンで「1つ先の塁を狙おう」と指示。京田は「(開幕スタメンに)足が震えた。ずっとフワフワしていた。でも(安打が)1本出たら地に足がついた」と、落ち着きを取り戻し、指揮官の言葉通りに前へ前へと進んでいった。

 キャンプ中は「こんなに思い通りにならないのは野球していて初めて」と弱音を吐いたこともあった。だが、オープン戦が始まると「楽しくなってきた」と、生き生きとした表情に変わった。オープン戦チームの全19試合に出場。昨秋のドラフト会議直前はストレスで肌荒れした。皮膚科で薬をもらっていたが、一番の特効薬は試合での結果だ。開幕直前にはきれいになっていった。

 プロ初安打の記念球は手元に戻ってきた。しかし「記念に持っておこうと思いますけど、価値はないですよね。もう1本打てたと思うので」と厳しかった。それでも新たな中日の象徴を感じさせた。森監督は「京田にしても、遠藤にしても、いいかたちでつないでくれた」とうなずいた。昨年の最下位からの脱出へ-。また京田がグラウンドを駆け回る。【宮崎えり子】

 ▼7番・遊撃で先発出場した新人京田が、5回にプロ初安打となる右前打を放った。ドラフト入団した中日の新人が開幕戦に遊撃で先発出場し安打を記録したのは、88年立浪が大洋戦で欠端から二塁打して以来、2人目。99年福留も遊撃でスタメンで出たが、4打数無安打に終わっていた。