左腕でつかみ取った「１勝」に、初々しい笑顔が弾んだ。ＤｅＮＡのドラフト１位ルーキー、浜口遥大投手（２２）は「ホッとしてます！　しっかり粘れば、必ず逆転できると信じていました！」。ヒーローインタビューにプロ初勝利の実感を込めた。

　広いナゴヤドームはパワー型に好相性だった。「僕はきっちり外にコントロールしたり、うまくかわす投球はできない。大胆に攻めるだけ」。打者に集中するのみ。初回、中日荒木への４球目でプロ入り後初の１５０キロを計測した。吉兆だ。味方の失策絡みで１点を先行されたが焦らない。４回１死満塁。京田を内角、木下拓を外角チェンジアップで連続空振り三振に切った。拳を握りしめた。

　久々の感覚だ。春季キャンプ中から実戦６試合で０勝３敗。勝ちに飢えていた。その間、大学日本代表の仲間だった広島のルーキー加藤は、デビューのヤクルト戦で９回１死までノーヒットノーラン。「いっそ達成してくれた方がすがすがしかったですけど（笑い）。刺激し合える関係でいたい。負けてられないなって」。絶対に勝つ。前夜は初登板以上に、緊張で眠れなかった。

　応援に訪れた家族の前で、自責０の堂々投球。ラミレス監督は「スバラシイ。スバラシイ」と繰り返した。昨季のドラ１今永が６試合かかったように、デビュー２戦目での初勝利は、球団の大卒新人左腕では史上２人目のスピード記録。左ふくらはぎをつり、７回１死で緊急降板したが大事には至らなかった。「新人だから、ではなく、１人のローテーション投手として、甘い考えは捨てていく」。入団時「右の（日本ハム）大谷、左の浜口」と世代を代表する投手になることを目標に掲げた。第１歩にふさわしい１１６球だった。【鎌田良美】