お待たせしました。西武から楽天にFA移籍した岸孝之投手(32)が、移籍後初登板で白星を挙げた。開幕投手をインフルエンザ感染で回避したが、雨が降る悪条件の中で親指に裂傷を負いながらも、6回4安打1失点と好投。首位を走るチームの3連勝に貢献し、球団史上初の開幕3カード連続勝ち越しに導いた。
大得意の球場でも、さすがに移籍初登板は緊張した。岸は西武時代、ZOZOマリンで通算10勝2敗、防御率2・21。14年にはノーヒットノーランも達成しているが「だいぶ緊張しましたけど、初回にピンチを抑えられたのが良かった」。チェンジアップを投げた際、親指に裂傷を負い、いきなり血染めの投球となった。それでも2死一、三塁で鈴木を一塁ゴロに打ち取り、落ち着きを取り戻した。
最後は少しバテた。最速146キロと飛ばし、6回にソロ本塁打を浴びた。103球と球数は少なかったが、故障を心配する与田投手コーチからの交代打診に「『任せます』とは言ったけど疲れていました。体を動かさない時期が5、6日あったので」。2月に開幕投手指名を受けたが、直前にインフルエンザでダウン。病み上がりで迎えた雨中の初登板だった。
野球人として成長するため楽天を選んだ。西武時代の13年オフ、3年総額12億円の大型契約を結んだ。「3年という数字は本当に評価してもらっている。とてもうれしかった。でもそこに甘えてもいけない」と思った。周囲からエースと呼ばれる状況も否定した。「僕は違いますから」と上だけを見続けた。「32歳となってもバリバリでやれる自信はある」。安住を捨て、FA移籍を決断した。
新加入した楽天では「みんな仲良く、真面目。楽しくやらせてもらっている」。だが、主力としての期待に反して開幕ダッシュに乗り遅れたため「最初に迷惑を掛けたので、チームの雰囲気を壊さないようにと思っていた」。袖に「がんばろう東北」と書かれた、えんじ色のユニホームで1勝目を挙げ、真の仲間入りとなった。キャプテン嶋は「岸とか則本とか勝っていけば、チームは勢いづく」とうなずいた。開幕3カード連続勝ち越しは、球団史上初めて。梨田監督は「1試合1試合という気持ちは変わらない。(岸は)野手への存在感を感じたね」。首位キープに頼もしい先発が加わった。【斎藤直樹】
▼西武からFA移籍した楽天岸が初登板で初勝利。FA移籍投手の初登板初勝利は、15年の成瀬(ロッテ→ヤクルト)以来で8人目。過去7人のうち移籍初年度に2ケタ勝利は00年工藤12勝、08年石井一11勝、12年杉内12勝、14年中田11勝と4人いるが、岸はどこまで数字を伸ばせるか。なおFA移籍投手が初登板初勝利を記録したチームは、過去7チームすべて優勝し、2ケタ勝利した4チームは日本一になっている。



