三度目の正直はならなかった。日本ハム有原航平投手(24)が、踏ん張れなかった。5回に先制点を献上。続く6回は好調ペゲーロに1発を許すなど2失点。試合は作ったが、先行を許したことが敗因の1つ。「何としても先制点は向こうにあげちゃダメだった」。これで、初の開幕投手を務めた今季は3戦3敗。すべて先制点を与えている。この日もチームを勝利に導けず、笑顔はなかった。

 内容は上向きつつある。前回登板の8日オリックス戦は8失点ながら完投。栗山監督は試合前に1週間前の舞台裏を明かしていた。「(最後まで投げたいと)自分から言ってきた。中継ぎを休ませたいとか、いろんな思いがあったんだろう」。打たれても、最後まで責任を持って投げきる。リリーフ陣の登板が多い現状。開幕投手を任された意味を、人一倍感じている。

 エース道を歩んでいる途中だが、歯がゆい登板が続く。過去2戦の制球の甘さを反省し、カットボールを中心にストライクゾーンを幅広く使った。初回から無失点を続けたが、中盤の勝負どころで制球は甘くなる課題を露呈。「精度を上げる練習をしたい」と、反省するしかなかった。

 チームは連敗で、両リーグ最速の10敗目に到達した。借金は再びワーストタイの6。栗山監督は「長いシーズン、こういう時があるので、これを生かせるように、みんなでやっていく」と、語気を強めた。野手の故障者続出で打線は苦しい日々が続く。有原の復調なくして、浮上はない。先発陣の軸となるべき男が試練を乗り越える日を、みんなが待っている。【木下大輔】