力投は実らなかった。広島先発九里亜蓮投手(25)が7回2/3を投げ4安打2失点で今季初黒星を喫した。7回終了時点で115球を投げていたが、緒方孝市監督(48)に期待を込めて送り出されていた。打たれた悔しさを糧に、成長していくしかない。チームは今季初のカード負け越し。休日を挟んで出直しだ。

 138球目。それまで九里を支えてきた内角のシュートを、阪神原口に打ち返された。8回2死一、二塁、フルカウントからの6球目。打球は三遊間を抜けていき、自動的にスタートを切っていた二塁走者が生還した。カバリングの先で、九里は悔しそうな顔を浮かべた。力投は報われず、無念の降板。チームも敗れ、今季初黒星を喫した。

 「疲れは感じていませんでしたが、大事な終盤をゼロで抑えないといけなかった。勝負していくなかで打たれた球。反省したい」

 今オフから威力を増した直球と、シュート、フォーク、スライダーを内外角にきっちりと投げ分け、ゴロを量産。2度目の対戦となる阪神にも「打者の反応、狙い球を見ながら投げられた」。中盤以降はスライダーでカウントもとれた。左打者には得意のシュートが効果的。ボールゾーンからストライクゾーンへと変化するフロントドアで見逃し三振も奪った。自身初となる2桁の10奪三振をマーク。タフさがウリの右腕は気迫も武器に腕を振った。

 7回終了時点で115球を投げていたが、緒方監督も「打者に向かってしっかり投げ込めていたし、まともにとらえられる打球もなかった。抑えられると思ったから送り出した」と続投を決断。中崎が離脱した中継ぎ陣、貯金が先行し経験を積ませられる状況などもあったが、自己最長の8回の途中で力尽きた。「僕の責任でしかない」と九里は話したが緒方監督は「悔しい思いもしただろうし、経験にして次に生かしてほしい。九里が責任を感じることはなにもない」とかばった。

 打線も1回の1得点のみに終わった。今季初のカード負け越しで、貯金は8だ。今日17日の休日をはさみ、18日からは最後の初対戦となるDeNA3連戦(マツダスタジアム)。経験と反省、成長で、再スタートだ。【池本泰尚】