抜てきした若虎の活躍で、金本阪神最多タイの貯金4や。「5番右翼」で今季初スタメン出場の中谷将大外野手(24)が1点を争う展開でプロ初となるV打だ。守備でもビッグプレーを演じ、攻守で大きな白星をもたらした。4試合ぶりの先発復帰となった北條史也内野手(22)も貴重なタイムリー。金本監督の起用がズバッと決まって、2連勝、2位死守、そして首位広島との2・5ゲーム差もキープだ。

 右翼中谷が低空飛行で跳んだ。長い左腕を目いっぱい伸ばし、地面スレスレの白球に突進した。1回裏2死三塁。4番ビシエドの右中間フライを間一髪で仕留めた。「一番良かったと思います」。落ちれば先制点献上の場面。開幕から立ち上がりに不安を抱えていた先発岩貞は大きく目を見開き、グラブをたたいて感謝、感謝だ。一気に流れを引き寄せるビッグプレー。指揮官は手放しで絶賛した。

 金本監督 あれは大きかったね。ああいう球際のプレーね。とにかく大きかった。

 待ちに待った出番を離してなるものか-。執念を体現した。今季初先発として名を連ねた8日巨人戦は雨天ノーゲーム。シーズン14試合目で満を持しての初スタメンだ。福留が「積極的休養」に専念する1日。左投手との対決を逃すわけにはいかない。2回1死、バルデスから左翼フェンス直撃の二塁打。そして同点の8回無死二、三塁、岩瀬からプロ初の決勝打を犠飛で決めた。

 2ボール2ストライクから左翼ポール際へ大飛球。もう少しで3ランの当たりがファウルとなっても落ち込まない。直後の1球、外角シンカーを右翼へ打ち上げた。「バットに当てることしか考えていなかった。数少ないチャンスをモノにできて良かった」。目をギラつかせたまま振り返った。

 中谷に続いたのも「抜てき組」だ。8回2死一塁。4試合ぶりに先発復帰した7番北條がライナーで右中間最深部を破った。一気に三塁を陥れ、リードを2点に広げた。先週末の広島3連戦は右腕との対決が続いたとはいえ、ドラフト5位糸原に遊撃スタメンを譲っていた。立場がぐらつく中で左腕相手に意地の一打を決め、指揮官も「バットを上から出して伸びる打球をキャンプからずっとやってきた。逆方向への強い当たりがボチボチ出だしたのかな」と納得顔だ。

 金本監督 今日なんかは糸井が活躍して、若い投手が投げているところで若い野手も頑張って、そういうのがチーム力のアップにつながっていくと思う。

 ここ7試合は6勝1敗。2連勝を決め、貯金4は金本政権最多タイとなった。出番に飢えた若虎たちが勝負どころで結果を出す。すてきな現象は、虎の底力がアップしている証しだ。【佐井陽介】

 ▼阪神が9勝5敗で貯金を4とし、16年の金本監督就任後では最多タイとなった。昨季4月14日DeNA戦に勝って10勝6敗1分けとして以来。今日19日も勝ち貯金を5に増やせば、15年9月15日(66勝61敗2分け)以来2シーズンぶりとなる。